研究課題
C型レクチンは、糖鎖を認識する膜タンパク質の総称で、細胞外のCRDと呼ばれる領域で糖鎖を認識する。私達はこれまでに、Dectin-1とDectin-2が、それぞれ特有の真菌細胞壁糖鎖を認識することにより真菌感染防御に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。本研究では、これまでの解析をさらに進め、複数のC型レクチン、その下流分子、IL-17などのサイトカインのノックアウト(KO)マウスを組み合わせて用いることにより、1)異なるC型レクチンのcollaborationの機構の解明、2)新規C型レクチン遺伝子改変動物の作成と解析、を行うことにより、真菌感染防御の分子機構を個体レベルで包括的に解明することを目的とした。本年度は、異なるC型レクチン分子のcollaboration機構について検討するため、Dectin-1/-2二重欠損マウス(Dectin-1/-2 DKOマウス)を作成し、感染実験を行った。その結果、Dectin-1/-2二重欠損マウス(Dectin-1/-2 DKOマウス)では、野生型マウスと比較し、真菌感染に対する抵抗性が顕著に低下しているばかりではなく、Dectin-2単独、Dectin-1単独のKOマウスよりも有意に抵抗性が低下していた。このことから、Dectin-1とDectin-2はなんらかのcollaboration機構があり、個体においてより強力に感染防御能を発揮していることが示された。
2: おおむね順調に進展している
当初より研究目的としていた、異なるC型レクチン分子間でのcollaboration機構に関し、Dectin-1とDectin-2がcollaborateすることにより、より強力な感染防御能を発揮していることを明らかにした。さらに、新規C型レクチンKOマウスを作成し、真菌感染実験を行ったところ、KOマウスでは感染後の生存率が有意に低下することを見出した。これらの結果から、当初の目的を鑑みて、おおむね順調に進展していると考えている。
異なるC型レクチン間のコラボレーション機構に関し、その分子機構を明らかにする。また、これまでに作成した新規C型レクチン分子KOマウスを用いて、真菌感染実験を行い、感染防御機構における役割を解明する。
当初の予定であった、マウス皮膚での真菌感染実験系において、これまで知られていなかった免疫担当細胞が重要な役割担っていることを見出した。そのため、in vitorにおける解析を開始ししたところ、重要な知見が得られた。そのため、マウス個体を用いた実験を次年度で行うこととし、in vitroでの解析を先行したため、次年度使用額が生じた。
真菌感染防御に重要な細胞群として、これまで知られていなかった細胞群があることを見出した。次年度は、抗体や遺伝子改変動物を用いて、個体レベルの解析を行う予定である。そのためのマウス、抗体、試薬などに使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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