研究課題
本研究では、光学顕微ナノ計測装置を活用し、遺伝的および生化学的手法を組み合わせることで、ATPおよび細胞膜を横切るイオン駆動力を動力源とするべん毛蛋白質輸送装置のエネルギー変換の分子機構の解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。1. 蛍光イメージング法によりべん毛繊維の成長速度を定量的に解析した結果、べん毛繊維の形成初期は1分間に100 nm伸長すること、その後べん毛繊維が長くなるに伴って、べん毛繊維の伸長速度が20 nm/minにまで低下することを見出した。2. pH感受性蛍光蛋白質を輸送装置の近傍に標識して局所pH計測を行った結果、わずか1μmほどのバクテリア細胞内でpH勾配が形成されていること、さらに、べん毛蛋白質輸送装置がATP加水分解とプロトン駆動力をカップルさせて利用することで効率的な蛋白質輸送を行っていることを明らかにした。3. 膜電位を上昇させると、水素イオンやナトリウムイオンの濃度勾配が消失しても、べん毛蛋白質が輸送されることが判明した。4. FlhAのC末細胞質ドメイン(FlhAc)がClosed formからOpen formへと構造変化すること、さらにFlhAの膜貫通ドメインとFlhAcをつなぐリンカー領域がすぐ隣の別のFlhAcサブユニットの構造変化を誘導することを見出した。さらに、このFlhAcサブユニットの協調的な構造変化はATPase複合体に依存することが示唆された。5. FlhBがFli6FliR2複合体に結合することを見出した。さらに、FliO/FliP/FliQ/FliR/FlhA/FlhB複合体やFlhAが結合したMSリング複合体の単離精製に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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