研究課題/領域番号 |
26293101
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米山 光俊 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40260335)
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研究分担者 |
西城 忍 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (60396877)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ウイルス / 免疫学 / 核酸 / RNA結合蛋白質 |
研究実績の概要 |
本研究では、ウイルス感染センサーであるRIG-I-like receptor (RLR)が、どのようにウイルス感染細胞内に出現するウイルスリボ核タンパク質複合体(RNP)を認識しているのかその分子機構を明らかにし、宿主細胞におけるウイルス由来非自己RNA認識機構の普遍性を理解することにより、将来的にRLRを標的とした新たな抗ウイルス薬剤開発につながり得る知見を見出すことを目的とする。 平成27年度中は、インフルエンザAウイルス(IAV)のモデルRNPを用いたRLR活性化のin vitro再構成系を用いた検討を継続して行った。その結果、モデルRNPの調整方法の違いにより、RIG-IがIAV RNPを基質として認識して下流シグナルを誘導できるかの結果が異なることが示唆された。この違いは、それぞれの調整方法により、RNP認識に関与する宿主因子の組成が異なっていることによることが予想され、その分子機構を検討することで、RIG-IによるIAV RNP認識に関与する宿主因子を明らかにできる可能性が考えられた。次年度以降、ここに注目した解析を行う計画である。 一方で、26年度までに行った原子間力顕微鏡(AFM)を用いがIAV RNPの可視化の実験系を用い、RIG-I分子とRNPの会合を検討してきたが、現時点で単独での会合を検出できておらず、上記した宿主因子の関与を考慮した上で、RIG-IによるウイルスRNP認識の分子機構を総合的に理解してゆく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従ってin vitro再構成系を用いたIAV RNPによるRIG-I活性化は検出できたが、RNPの調整方法の違いにより結果が異なることが明らかになっている。このことは、RIG-IによるRNPの認識とシグナル活性化に宿主因子が関与していることを示唆しており、今後の解析に重要な知見であると考えている。またAFMを用いた解析についても一定の進展がみられていることから、おおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、RIG-IによるRNP認識における宿主因子の関与の有無を中心に検討を進める。特に、宿主因子の関与が示唆された場合、その因子の同定を目指した生化学的な解析を実行する。また、代替案として特定の分子に着目し、RNAiでその発現を抑制した時のRIG-IとRNPとの会合への影響を検討することで、関与する可能性のある候補因子を見出す。最終的には、遺伝子破壊マウス等を用いたより生理的な解析へと進めることを考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の解析において、IAV RNP調整の条件の違いにより得られる結果が異なることが明らかになった。この結果は、それぞれの条件で調整したRNPサンプルの生化学的な相違について、より詳細に検討する必要があることを示唆しており、実際に計画遂行に若干の遅れが生じたため、基金助成金の一部を次年度使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用した研究費は、平成28年度の研究計画の実施分として使用することで、研究推進に資することができる。特に、28年度に予定しているIAV RNPの生化学的な解析とAFMを用いた可視化解析、さらにそれに続く実験動物を用いた機能解析に使用することで、効率良い研究の進行が可能となると考えている。
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