研究課題
単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)は、約80種類と多くのウイルス因子をコードしている。これらウイルス因子群の総和として引き起こされるHSVの増殖や病原発現のメカニズムを解明するためには、全てのウイルス因子の機能を統一的に解析し、それらの解析で得られる知見を体系的に統合し、理解することが必須である。本研究課題では、全てのHSV因子の機能発現機構の統合的理解を最終目標とし、その第一歩として、申請者が独自に構築してきた技術基盤を利用したHSV因子の多因子統一解析システムを構築することを目的とする。本年度は、HSVのカプシド蛋白質VP26に焦点をあて、VP26欠損ウイルスを用いた解析を行った。その結果、VP26欠損ウイルスでは、ウイルスゲノムDNAの切断とカプシドへのパッケージングにそれぞれ必須であり、カプシド成熟に関与するUL17およびUL25の核内キャプシドへの取り込みが野生体と比較して著しく低下していた。また、VP26欠損ウイルスでは、ウイルスDNAのカプシドへのパッケージングが野生体と比較して有意に低下することが明らかとなった。以上の結果は、VP26が、UL17,UL25のカプシドへの取り込みを促進することで、ウイルスゲノムDNAのカプシドへの効率的なパッケージングへ貢献していることを示唆している。今回、我々は、VP26がHSVカプシドの成熟に関与する新規制御因子であることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Cell Host & Microbe
巻: 23 ページ: 254~265.e7
10.1016/j.chom.2017.12.014
The Journal of Clinical Investigation
巻: 127 ページ: 3784-3795
10.1172/JCI92931
Nature Communications
巻: 8 ページ: 551
10.1038/s41467-017-00527-2
Journal of Virology
巻: 91 ページ: e01068-17
10.1128/JVI.01068-17
巻: 91 ページ: e00271-17
10.1128/JVI.00271-17
Antiviral Research
巻: 142 ページ: 21~29
10.1016/j.antiviral.2017.03.005
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/Kawaguchi-lab/KawaguchiLabTop.html