研究課題
HIV-1は高度にヒトに特化したウイルスであり、アクセサリー蛋白質がこの特性を担っている。したがって、HIV-1の個体内複製機構や病原性発現機構の解明、さらに、これらに基づく抗HIV-1戦略の新規開発には、霊長類感染実験系を確立するとともに、そのシステムを用いてアクセサリー蛋白質の機能解析を行う必要がある。研究代表者らは、アカゲザル個体内で充分良く増殖し持続感染から発症に至る能力を備えたCCR5指向性/アカゲザル指向性HIV-1(HIV-1rmt)の構築に取組んでいる。本年度は、遺伝子工学的に構築した4種類のCCR5指向性HIV-1rmtクローンをアカゲザル個体に単独あるいは混合感染させた。いずれの感染個体でもウイルス複製が確実に観察されたが、CXCR4指向性HIV-1rmtの標準クローンに比較すると、約1/4程度であり、持続感染を個体で成立させるためには更なる改善が必要であると考えられた。この実験と並行して、文献的に最も優れた増殖能を持つCCR5指向性HIV-1rmtクローン(研究代表者ら、2013)を比較対照とし、5種類のCCR5指向性HIV-1rmtクローンをアカゲザルリンパ球細胞株M1.3Sに接種し長期培養を行った。その結果、M1.3S長期感染細胞から増殖能が顕著に向上した2種類の分子ウイルスクローンの取得に成功した。いずれも臨床分離株由来のenv遺伝子を持つクローンである。この他、親クローンより著しく増殖能の向上した分子クローンが多数得られており、ウイルスの多様性を確保しアカゲザルにおけるウイルス増殖能、変異性、病原性発現能等を厳密に検証するため、それぞれについて細胞レベルで解析を進めている。これらの成果に基づき、アカゲザル末梢単核細胞での確認実験により適当なクローンを複数選択し、アクセサリー蛋白質変異体の構築、アカゲザル個体感染実験を行う。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Microbiology
巻: 7 ページ: 1211
10.3389/fmicb.2016.01211.
巻: 7 ページ: 1655
10.3389/fmicb.2016.01655.