研究課題
われわれは、ノックアウトマウスを用いた実験により、気道の上皮細胞に発現している宿主プロテアーゼTMPRSS2が、インフルエンザウイルスをin vivoで活性化する必須酵素であることを証明した。本研究では、特に呼吸器パラミクソウイルスに関してTMPRSS2の役割について研究した。センダイウイルスは、マウスのパラミクソウイルスであるが、マウスに致死的な肺炎を起こす。TMPRSS2の発現を欠いたマウス生体内では、センダイウイルスの増殖性や病原性は大きく低下しており、センダイウイルスにおいてもTMPRSS2が重要であることが明らかになった。ヒトパラインフルエンザについても類似の実験をしたが、マウスでの増殖性が確認できなかったので、十分な解析ができなかった。ヒトメタニューモウイルスについても解析を行った。マウスでの増殖性は低いものの、TMPRSS2の発現を欠くことで、増殖性がさらに低下しており、ヒトメタニューモウイルスにおいてもTMPRSS2が重要であることが示唆された。
3: やや遅れている
当初の計画通り、インフルエンザウイルス以外のパラミクソウイルスにつても、TMPRSS2の重要性を明らかにすることができた。ただし、開裂性の確認や、ヒトパラミクソウイルスでの証明ができていないこと、論文発表ができていないことから、やや遅れていると判断した。
センダイウイルスに関してプロテアーゼによるFタンパクの開裂性の確認を急ぎ、論文発表する。また、ヒトメタニューモウイルスに関して、H28年度中には成果を論文発表する。
平成27年度中に購入したが、年度末であったため、支払いが平成28年度になっている物品が995,147円あり、次年度使用額は883,939円である。他の業務のため一部研究の進行が、やや遅れているため次年度使用の予定になった。
協力研究者を一名追加して、遅れている分の研究の推進を図る。
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