研究課題
ケモカイン受容体XCR1を発現する樹状細胞(XCR1+樹状細胞)を恒常的に欠失するマウス(XCR1-DTAマウス)において、腸管粘膜固有層および腸管上皮細胞間のT細胞が顕著に減少していること、その腸管粘膜固有層T細胞において腸管特有の膜タンパク発現パターン(CD62L発現の低下、CD103発現の増加)が障害され、死細胞の割合が増加していること、さらに、XCR1-DTAマウスにおいて、デキストラン硫酸ナトリウムの投与により誘導される腸炎症状が増悪することを見出した。以上の結果から、XCR1+樹状細胞は、腸管T細胞の生存、分化を支持することにより、腸管免疫の恒常性を維持していることが示唆された。また、樹状細胞全てを欠失するマウス(CD11c-DTAマウス)を解析したところ、XCR1-DTAマウスと同様に、腸管T細胞の減少が認められたことから、腸管樹状細胞の5-10%を占めるXCR1+樹状細胞が腸管T細胞集団の維持に主要な役割を果たしていることが示唆された。さらに興味深いことに、XCR1+樹状細胞は小腸、大腸のどちらにも検出されるが、XCR1-DTAマウス、CD11c-DTAマウスいずれにおいても、腸管T細胞の減少は小腸においてのみ顕著であり、大腸においては減少も増加も認められなかった。また小腸と大腸を比較検討したところ、小腸T細胞が構成的に活性化されていることが明らかになった。したがって、XCR1+樹状細胞は、小腸においてT細胞を活性化することによりその集団を維持していることが示唆され、XCR1+樹状細胞の腸管部位特異的な機能的意義が明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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