研究課題/領域番号 |
26293108
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大洞 將嗣 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (40351506)
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研究分担者 |
小迫 英尊 徳島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10291171)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫シグナル伝達 / カルシウム / T細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カルシウムシグナルを切り口として胸腺細胞の選択と選択後の成熟過程の分子制御機構を明らかにすることである。本年度は以下の解析を行った。 1. Stim1、Stim2、Trpm7の3重欠損マウスの作製を開始した。その過程で、TRPM7単独のT細胞特異的ノックアウトマスが得られたので、その解析を行った。その結果、胸腺T細胞の分化に遅れが認められるものの、週齢を重ねると見かけ上の分化に異常は認められなくなった。 2. TCR刺激によるカルシニューリンの標的タンパク質の同定をリン酸化プロテオームによる同定を試みた。その結果、野生型とカルシニューリン欠損マウスの間で、カルシニューリン依存的な候補分子はほとんど認められなかった。そのため、刺激方法をイオノマイシン刺激にし、強力なカルシウムシグナルでまず候補分子の同定を行う方針に変更し、現在解析をしている。 3. Kdm5bの組織特異的ノックアウトマスの作製を開始し、現在までにキメラマウスからのジャームライン・トランスミッションを確認した。 4. カルシウムシグナルが制御性T細胞の前駆細胞から成熟細胞への分化に必須であることは明らかにしたが、成熟後のカルシウムシグナルの役割は不明であった。そこで、Foxp3-IRES-YFP/Creノックインマウスを用いて、Stim1とStim2の二重欠損マウス、カルシニューリンB1の欠損マウスの2ラインを作製し、解析を行った。その結果、カルシニューリンB1の欠損マウスは4週齢で、Stim1とStim2の二重欠損マウスは8週齢前後で、重篤な炎症によって死亡した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルシニューリンの標的タンパク質の同定はやや遅れているが、その他の項目は概ね順調に進んでおり、特に制御性T細胞とカルシウムシグナルの項目は予想より順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
カルシニューリンの標的タンパク質の同定は、イオノマイシン刺激でまずおおまかな候補分子を同定し、その後生理的な刺激で確認するように計画を変更した。Trpm7に関しては、3重欠損マウスが得られるまでの時間に、Trpm7単独欠損で分化が送れるメカニズムを混合キメラマウス等の作製によって解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
プロテオーム解析の遅れにより、関係する試薬の購入を控えた。さらに、ChIPシーケンスを次年度に繰越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
プロテオーム解析は改善するようにしており、予定通り関連物品の購入を行う。また新規カルシウムチャネル遺伝子欠損マウスの作製、ChIPシーケンスの費用として使用する予定である。
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