本研究の目的は、カルシウムシグナルを切り口としてT細胞の選択と成熟過程の分子制御機構を明らかにすることである。 本年度は、T細胞においてカルシウム流入を欠損するマウスにおいて発症する自己免疫疾患の発症機構を解明した。ストア作動性カルシウム流入の制御分子Stim1とStim2を欠損するT細胞は殆ど活性化することが出来ないにもかかわらず、皮膚炎、好酸球増多、血清中における高レベルのIgG1、IgE、抗核抗体を検出し、2型の炎症と自己免疫疾患を発症した。Stim1とStim2を制御性T細胞特異的に欠損するマウスを用いて、この疾患は制御性T細胞の分化や機能障害だけによるものではないことを明らかにした。その原因を解析した結果、ある特定のヘルパーT細胞がカルシウム非依存的に活性化し、IL-4を恒常的に産生することを見出した。
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