研究課題/領域番号 |
26293114
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
呉屋 朝幸 杏林大学, 医学部, 名誉教授 (10255383)
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研究分担者 |
遠山 信幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (10265283)
後藤 康志 新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40410261)
門倉 光隆 昭和大学, 医学部, 教授 (60214417)
近藤 晴彦 杏林大学, 医学部, 教授 (60399590)
富永 隆治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70136464)
小松原 明哲 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80178368)
相馬 孝博 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会(臨床研究施設・研究部門), 副院長室, 副院長 (90262435)
藤澤 由和 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (70387330)
水野 信也 静岡理工科大学, 総合技術研究所, 客員准教授 (60714524)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療行動学 / ノンテクニカル・スキル / 外科医 |
研究実績の概要 |
高リスク領域の安全性をより確実なものとするためには、当該領域で作業する従事者らの専門的知識や技量はもちろんのこと、いわゆる「ノンテクニカル・スキル」が重要であるとの認識が世界的に高まっている。そこで本研究は、医療の中のハイリスク領域である外科医療に着目し、外科医の「ノンテクニカル・スキル」の向上を通して、医療の質および安全のより一層向上を最終的な到達点とする。 そのために、まず外科医におけるどのような術中の振る舞いが「ノンテクニカル・スキル」として把握し、評価することが出来るかという基本的な論点を明らかにし、さらにそれを体系的かつ効率的に評価しうるシステムを構築することを目的とするなかで、評価システムのための基礎的知見の構築として「ノンテクニカル・スキル」に関する洗出しを行い、それらを基に評価システムのための基礎的な知見を構築した。 具体的には、公開されている医療事故報告書の分析、外科医のノンテクニカル・スキルに対する認識把握などより得られた情報を用いて、「ノンテクニカル・スキル」に関して洗出しを行い、さらにその網羅的なリストを検討した。事故報告書の分析に関しては、日本医療安全調査機構などにより公開されている事故報告書を用いて、国際的にも標準化された分析手法を適用し、ノンテクニカル・スキルの洗出しを行った。外科医の認識に関しては、本研究組織の研究者らを対象に、ノンテクニカル・スキルに対する認識把握を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における当該年度の計画実施状況としては、評価システムのための基礎的知見の構築を行うことを想定しており、具体的には可能な限り網羅的な「ノンテクニカル・スキル」に関する洗出しを行い、それらを基に評価システムのための基礎的な知見の構築を試みた。 まずノンテクニカル・スキルの洗出しとリスト化に関しては、公開されている医療事故報告書の分析、外科医のノンテクニカル・スキルに対する認識把握により得られた情報などを用いて、我が国の外科医における「ノンテクニカル・スキル」に関して洗出しを行い、さらにその網羅的なリストの検討を行った。 事故報告書の分析に関しては、日本医療安全調査機構などにより公開されている事故報告書を一定数用いて、複数の研究者(研究分担者、研究協力者など)により、国際的にも標準化された分析手法を適用し、ノンテクニカル・スキルの洗出しの検討を実施し、医療事故との関連から、当該研究課題に関連するノンテクニカル・スキルの同定を試みその論点を整理した。外科医の認識に関しては、事故報告書分析などの知見を基にノンテクニカル・スキル項目に対して定性的な形でのデータの収集を実施した。こうした作業を踏まえ、ノンテクニカル・スキルに関する項目ごとの当該概念リストの作成を試みた。なお、認知タスク分析に関しては、データの収集に関しては実施されたところであるが、その解析および提示方法に関して、さらなる検討が必要ということで次年度以降においても継続して検討を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
評価システムの構築に際しては、ノンテクニカル・スキルに関する洗出しを踏まえ、複数の方法を用いてその洗出しとリスト化を実施し、これらを集約しノンテクニカル・スキルを項目化しリストの検討を行なう。また評価システムの具体的な構築作業として、「ノンテクニカル・スキル」の評価システムの構築に必要とされる「行動マーカーの同定」、「スキル分類の作成」、「評定尺度の決定」それぞれの検討を実施する。また今後、構築される評価システムの検証を二段階にわたって実施する。第一段階として、まず評価システムに含まれる行動マーカーを組込んだ術中プロセスのシナリオおよび評価用ビデオの作成を用いて、本研究組織に参画する外科医、麻酔医である研究者らが、それぞれ実際に複数回のインターバルを挟んで、評価を実施する。次いでそれら評価尺度得点の集計結果、および最終評価実施後のヒヤリングなどを基に、評価システムの信頼性、および妥当性に関する検討を行う。第二段階として、研究組織に参画する研究者らの所属もしくは関連する各組織において、複数名の外科医を対象に、上記と同等の作業を行い、尺度の得点に関する信頼性および妥当性に関する検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノンテクニカル・スキルの洗出しおよびリスト化に関して、研究組織内において方法論の議論をより詳細に行う必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究組織内の研究者および外部専門家を交えての検討を行うための会議費など。
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