研究課題/領域番号 |
26293115
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
工藤 宏一郎 早稲田大学, 付置研究所, 教授 (20107618)
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研究分担者 |
山田 満 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50279303)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インフルエンザパンデミック / 医療制度 / ガバナンス |
研究実績の概要 |
1.1918年スペインかぜの診療録からの症例検討(東京第一陸軍病院の診療録調査):診療録の摩耗が進んでいた為、先ず今後の保管用にすべて電子化した。研究はスペインかぜによる重症化(含、死亡)を、記録されていた臨床的理学所見を基に検討した。当時の医療水準を考慮すれば、インフルエンザウイルスそのものが不知であり、種々の介入方法も乏しかったが、ゆえにインフルエンザの自然経過を示す貴重な資料であった。現代の手法で統計解析したところ、肺炎の重症度の指標として、肺雑音の種々の解析、呼吸数、熱型パターン、入院日数が有用であることが示された。2009年インフルエンザH1N1pdm09パンデミック研究と照らし合わせるとウイルスの型によらず今後発生する新型インフルエンザの重症度判定する為の重要な資料となりえることが示唆された。100年前の記録が今後のパンデミック対策に生かせる貴重な結果が得られた。(英文誌投稿中) 2.メキシコの社会保障制度とインフルエンザH1N1pdm09の重症患者の社会的背景の調査(現地医療従事者へのインタビュー調査):メキシコの医療制度を調査し、患者の重症化を社会経済的側面から検討した。メキシコの医療保険制度別にカテゴリー分類(民間医療保険、国民健康保険、無保険、通常の医療にアクセス出来ない)し、それぞれの罹患・発病者の受診行動を調査した。医療保険制度、患者の情報や知識、教育が疾患の重症度に影響していることが明らかになった。(英文誌投稿中) 3.鳥インフルエンザ(H5N1)感染の発生・死亡の空間-時間解析:将来のインフルエンザパンデミックの疾病モニタリング法の提案として、ベトナムにおけるH5N1ウイルス感染の時間的、空間的変遷を統計的に解析、その要因を検討した(英文論文発表)。同手法を用いて、今後のパンデミックへの危機管理に応用可能と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的状況や環境、国際共同研究先の事情等で、当初予定していたのと異なる調査先を選定しなければならないところが出てきたが、その他は計画された調査研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査、各国の医療制度の調査は10月を目処に終了させ整理する。20世紀のインフルエンザパンデミック(スペインがぜ、アジアかぜ、香港がぜ)の時代的背景と患者数(死亡者数)との照らし合わせを行い論文化も進める。 これまでの研究成果での各小研究は英文科学誌に投稿し発表する。更にそれらを包括的に検討し、インフルエンザパンデミックを医療制度と歴史背景から国際比較と二次元的比較を行う。これを総括としてまとめ書籍化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に購入予定の消耗品(文具)を購入しなかった為。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品(文具)の購入
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