研究課題
筋は収縮し運動を担うばかりでなく、運動に伴って神経成長因子(NGF)やグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)などの痛覚感作物質を産生する。しかし、痛覚感作物質産生の初発機構は未解明である。そこで本研究では遅発性筋痛モデルを用い、NGF産生を開始させるATPを主に着目し、初発機構を明らかにすることを目指した。1) ATPの放出を、筋初代培養細胞を用いて観察した。電気刺激と伸張装置とを用いて伸張性収縮(LC)させたときのATP放出をライブイメージングすることに成功した。しかし、まだ成功の確率が非常に低く、改良中である。2)LCを負荷した場合のATP放出量が、遅発性筋痛が生じにくい遅筋であるヒラメ筋(Sol)より、遅発性筋痛が生じやすい速筋である長指伸筋(EDL)で多い理由について、取り出し神経-筋標本を用いて検討した。収縮力発生パターンは、EDLでは50Hzでの刺激開始直後に最大収縮力に達するのに対し、Solでは収縮1秒間の終期に最大値に達することがわかった。これがATP遊離量の違いの一因であると考えられる。次にATP遊離チャネルとして知られるPannexin1のmRNA発現量を比べたところ、SolがEDLの7倍も高いことがわかった。ATP遊離量とpannexin 1発現量の解離の理由は目下不明である。3)LCを5日間隔で2回繰り返すと、2回目には遅発性筋痛が発現しにくので、この場合のATPの遊離量の変化を調べた。5日前にLC負荷を行ったラットとLCを負荷していないラットから取り出し神経-筋標本を作製し、LC負荷時のATP遊離量を測定したところ、有意差はなかった。4)LC負荷により筋細胞の膜タンパクレベの変化を、今年度は新たにMitsugumin 53について調べ、LC負荷5日後に増大を見た。これらの結果は、初発機構としてATP遊離以外にも着目する必要があることを示唆する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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European Journal of Pain
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巻: 印刷中 ページ: -
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http://www.isc.chubu.ac.jp/myalgia/