研究課題/領域番号 |
26293132
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
古江 秀昌 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20304884)
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研究分担者 |
神野 尚三 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (10325524)
深澤 有吾 福井大学, 医学部, 教授 (60343745)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 覚醒 / 鎮静 / 鎮痛 / 青斑核 / チャネルロドプシン |
研究実績の概要 |
生体は過度の緊張状態など特殊な状況下で闘争や逃避を可能とすべく意識や覚醒レベルを高め、一方で痛みを中枢性に抑制する。その高次機構の詳細を明らかにするために、今年度は以下の研究を行った。 1 青斑核ニューロンの賦活化が意識・覚醒レベルや痛覚抑制に与える影響の行動解析 ノルアドレナリンの合成酵素のプロモーター下にチャネルロドプシンや蛍光タンパク質を組み込んだウィルスベクターを作製し、青斑核ニューロンにチャネルロドプシンを発現させた。光ファイバーを留置して青斑核を光刺激すると、青斑核ニューロンはスライスおよびin vivoどちらの標本においても光依存性にその活動が高まった。その光による賦活化は光刺激の間中持続した。さらに、吸入麻酔を加えると青斑核の活動が完全に抑制され鎮静作用がみられたが、その状態でも光刺激は青斑核ニューロンを賦活化した。次いで行動を観察すると、青斑核の賦活化により覚醒が高まった。また一方で、逃避行動の解析から鎮痛効果が現れた。 2 青斑核賦活化機構の解明 チャネルロドプシンが青斑核ニューロンに選択的に発現できたか確認した。ノルアドレナリン合成酵素であるチロシンヒドロキシラーゼやドパミンβ水酸化酵素と共染色を行うと、チャネルロドプシン(蛍光タンパク質)を発現する細胞は青斑核ニューロンとよく一致した。また、その投射は下行性に脊髄後角表層に投射することを観察するなど、鎮痛を担う青斑核ニューロンの神経網の同定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部研究計画を次年度に繰り越したものの、本研究遂行のための解析法・神経系の制御法を開発できたため、研究は概ね計画通りに遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画が進展しているため、当初の目的・計画の通り研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
青斑核ニューロンの複雑な上行性投射の解析や更なる行動解析など当初予定していた当該年度の実験の一部を次年度に行うため、そのための使用額を次年度へ繰り越す必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度行う実験に必要な謝金や物品の購入に使用する。
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