研究課題/領域番号 |
26293135
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
盛武 敬 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50450432)
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研究分担者 |
千田 浩一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20323123)
綿貫 啓一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30212327)
吉永 信治 独立行政法人放射線医学総合研究所, 福島復興支援本部, チームリーダー (50270616)
岡崎 龍史 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (50309960)
松原 俊二 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60294675)
錦戸 文彦 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (60367117)
松丸 祐司 公益財団法人冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (70323300)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 放射線 / 医療・福祉 / インターベンショナルラジオロジー / 血管内治療 / 被ばく |
研究実績の概要 |
日本では頭部血管造影(診断アンギオグラフィ)の診断参考レベル(DRL)の策定方法は未だ定まっていない。医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)では、関係諸団体との共同でH27年の報告書とりまとめを目指して活動を続けているが、そこではIVRのDRLは既存の血管造影関連パラメーターによるDRLの策定予定となっており、今後最終的には患者皮膚線量や臓器線量による参考レベルの策定を目指すことが医学的にも理想的であると考えている。 当研究ではH26年度にまず頭部用の専用装具の改良を実施し、最終形である64箇所測定装具のデザインを完成させた。そしてこの装具を用いて、血管造影の患者入射皮膚線量を先行する国内5施設で実測してきたが、最大入射皮膚線量は面積線量値、IVR基準点に於ける積算線量値(air kerma)と良好な相関を示すことが分かり、現状での代替策ではあるが、これらのパラメーター値を用いて最大入射皮膚線量を推測する手法の妥当性を明らかにすることが出来た。 同様に、脳血管内治療の患者入射皮膚線量を測定し、概ね良好な血管造影関連パラメーターとの相関が認められたが、診断に比べて、治療では患者個人間の治療時間やX線照射時間の差異が大きく、すべての脳血管内治療をまとめたDRLの策定は、被ばく防護の最適化という最大の目的にそぐわない可能性が明らかになってきた。従って、この結果をふまえて、同じような難易度の治療をまとめた、例えば同じ様な疾患毎にDRLを策定することが今後必要になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)将来的な被ばく影響を考えると、成人よりも小児の被ばく影響の方が問題が大きい。当研究によって小児先天性心疾患のIVR治療による最大入射皮膚線量を測定し、血管造影関連パラメーターとの相関、疾患毎の線量傾向、被ばく線量に影響を及ぼす因子についてまとめ論文に公表することができた。 (2)国内多施設でのDRL策定プロジェクトに先駆けて、先行施設での実測研究データの解析により、多施設DRL策定プロジェクトの実施可能性について、その具体的な方策の検討を深めることができた。 (3)医療被ばくに関しては未だ医師の関心が低いのが現状であるが、関連学会でのIVR被ばくに関するシンポジュウムを開催することができ、会員の認知度向上に一定の貢献をすることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)DRL策定プロジェクトに対する関連学会の支持を得、さらに代表施設でのIRBを通過の後に拡大プロジェクトを実施する。 (2)線量測定結果を実際の臨床現場で活かすためのデータ管理システムを構築する。 (3)得られた線量データをチーム医療で活用することで治療安全の向上に活かした実践活動を啓蒙する。 (4)患者のみならず術者の被ばくに関しても適切な評価と防護策を講じるための研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
特段の理由をもって次年度に繰り越した意図はございませんが、基盤Bの年度使用額からすると134,952円は適切な誤差範囲かと思われます。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間内で適切に使用する予定です。
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