研究課題
本研究の内容は中性子標的への陽子ビーム照射に伴う照射損傷(ブリスタリング)の観察方法の開発と、ブリスタリングに強い中性子標的の開発からなる。平成26年度に開発に着手、平成27年度に完成し、J-PARCの開発用試験加速器でレーザー反射を用いた長距離からの照射損傷観察装置の機能を確認した。平成28年度からいばらき中性子医療研究センターの陽子線加速器を用いたBNCT装置の中性子源に設置し、画像を取得を開始した。平成28年度後半から加速器の性能向上による本格的な中性子の発生が始まり、中性子標的への陽子ビーム照射も本研究の目的とする範囲の照射量が可能となった。当初予定から1年延びたが悪性黒色腫の治療に耐える強度の中性子が生成される状況となり、大電流照射下での照射損傷観察装置による観察を進めた。ほぼ規定の中性子線量を得て長期に亘る照射で明らかな照射損傷は見られず、標的の健全性が得られている。陽子ビーム照射停止後の中性子標的からのガス放出が観察され、ブリスタリングに強い構造を持った特殊な中性子標的特有の現象が観察された。水素ガス放出を目的とした耐ブリスタリング特性の中性子標的の試作は10mm角の試験片ではその基板との付着の特性が良いにもかかわらず、実機として用いる直径63.5mmの中性子標的用ベリリウム金属では外周部の一部に基板からの剥離が見られた。成膜時の分圧、基板温度等に注目した試験を行い、さらに試験片を放電加工により切り出し、レーザーフラッシュ測定、各種顕微鏡による断面観察等から知見を得た。断面の各種情報から、ベリリウム蒸着時に基板に拡散したベリリウムと基板の銅とが金属間化合物を形成し、蒸着膜の付着強度を律していることが判ってきた。これらは特に基板の温度分布との関連が考えられ、均熱性の確保が重要と捉えている。新照射損傷観察方法の完成、新原理中性子標的の試作を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plasma and Fusion Research
巻: 13 ページ: 2406006-1, 6
http://bnct.kek.jp/index.html