研究課題
本研究は、佐賀市民約12,000人のコホート研究により、加速度計で計測した身体活動量と末梢血DNAメチル化の関連を検討する。また、身体活動量と循環器疾患・がんなどの生活習慣病罹患の関連を検討し、その介在因子としての候補遺伝子メチル化と炎症マーカー(高感度CRP)の寄与度を推定する事を目的とする。具体的には、以下の通りである。①ベースライン調査の横断研究により、身体活動量と末梢血DNAメチル化(ASC遺伝子などの候補遺伝子)の関連を検討する。②ベースライン調査と5年後調査の縦断研究により、身体活動量の5年間の変化が候補遺伝子メチル化の変化および高感度CRPの変化と関連しているかどうかを検討する。③コホート研究により、強度別の身体活動量および高感度CRPと循環器疾患・がん罹患の関連を検討する。また、症例コホート研究により、候補遺伝子メチル化と上記疾患罹患の関連を検討し、上記疾患の介在因子としての候補遺伝子メチル化と高感度CRPの寄与度を推定する。2014年度はASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a caspase recruitment domain)遺伝子の7カ所のメチル化を576名のベースライン参加者について測定し、横断的検討を行った。この結果、ASC遺伝子の1カ所のメチル化と身体活動量との正の関連を見出し、また数カ所のメチル化とインターロイキン(IL)-8、IL-15、腫瘍壊死因子-betaとの負の関連を見出した。この事は身体活動が末梢血リンパ球のメチル化に影響を与えて、全身性炎症に影響を与える可能性を示唆する。この他、身体活動量と関連する候補遺伝子のメチル化を探索するために、ベースライン調査参加者ランダムサンプル365名について、メチル化アレイ(485,000部位)による検討を開始した。
3: やや遅れている
当初はベースライン調査参加者約2000名程度についてDNAメチル化解析を実施する予定であったが、実験スケジュールの遅れのために、この目標数を達成する事ができなかった。
今後は、ベースライン調査と5年後調査の縦断研究により、身体活動量の5年間の変化が候補遺伝子メチル化の変化と関連しているかどうかを検討する。また、全ゲノムのメチル化と身体活動量の関連を検討する事により、まだ報告されていない新たな候補遺伝子を見出したいと考えている。最終年度までには、コホート研究により、強度別の身体活動量および末梢血DNAメチル化が循環器疾患およびがんなどの生活習慣病罹患に与える影響を検討したい。
当社見込んでいた検体測定数が実験スケジュールの滞りによって減少したため。
完了できなかった測定を次年度に繰り越すと共に、必要があれば新たな測定費用(DNAメチル化アレイによる測定に必要な試薬・実験器具など)として使用する。
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巻: 64 ページ: 81-87
10.1016/j.ypmed.2014.04.004.
http://www.prevent.med.saga-u.ac.jp/jmiccsaga.html