研究課題/領域番号 |
26293144
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
鈴木 康司 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60288470)
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研究分担者 |
山田 宏哉 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (80610352)
橋本 修二 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50148334)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / DNAメチル化 / コホート / 生活習慣病 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
癌や心疾患など生活習慣病は遺伝的要因と環境要因が互いに影響することにより発症する。その関連に重要な役割を果たすとして注目されているのが、遺伝子発現を調節する仕組み「エピジェネティクス」である。代表的なエピジェネティクスの機構の1つにDNAのメチル化がある。DNAメチル化は、DNAを構成する塩基であるシトシンの5位炭素原子へのメチル基の付加反応であり、メチル化の起こりやすい部位は,主に遺伝子のプロモーター部分のCpG islandであり、この部位のメチル化が起こると転写が阻害され、遺伝子は不活性となる。このようなDNA配列の変化を伴わず、後天的な修飾により遺伝子発現が制御される仕組みであるDNAのメチル化が疾患の発症に重要な役割を果たすことが様々な研究から示唆されている。白血球DNAにメチル化異常は、様々な組織(細胞)で起こっているメチル化異常を反映している可能性が推察される。しかし生活習慣等によるDNAメチル化の変化による遺伝子発現調節が生活習慣病の発症に重要な役割を担うと考えられているが、疫学分野おいて一般住民を対象としたエピジェネティクスの観点からの科学的エビデンスは未だ乏しい状況にある。そこで、平成27年度の健診受診者及び、長期保存している検診受診者のリンパ球を用いてDNAメチル化の解析を行い、白血球DNAメチル化について生活習慣病の発症との関連およびバイオマーカーとしての意義を明らかにすることを目的として研究を進めている。本研究で得られる知見は、疾病発生のメカニズム解明・予防対策の樹立に寄与するとともに、今後行われる長期的な縦断研究を行う上で有用であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が長期にわたり追跡調査を行っている住民検診の平成2~3年に受診した人を対象者と平成27年度の健診受診者を対象として本研究を行う。平成2~3年の住民検診受診者全員は、検診で採血した血液について、検査終了後、血清やDNAを凍結保存して、将来癌や脳卒中のような成人病の病因解明や予防対策のために役立てるためにご協力をお願いする書面によるインフォームドコンセントを行っており、同意が得られた者のみを解析対象者とした。平成27年度の健診受診者についてはゲノム採取のための準備(人権の保護及び法令等の遵守への対応)を進めた。 また、メチル化解析に向けての測定法の確立もおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
対象者から得た保存白血球を用いて、DNAメチル化レベルの測定を行う。ベースライン時のアンケート調査から得られた生活習慣や検診時の肥満度、血液成分値および血圧などをまとめ、データベースの作成を行う。作成したデータベースを元に、白血球DNAメチル化レベルと生活習慣、肥満、メタボリックシンドローム等との関連について横断調査を行う。さらに現在までの死亡データをデータベースに結合し、白血球DNAメチル化と癌や循環器疾患などの主要死因との関連について後向きコホート研究を実施し、コホート内症例対照研究等の解析を行う。得られた知見は関連学会での報告や論文作成を行い公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の期限などを考慮し、順次に購入した。そのため、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通りに試薬購入を行う。
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