研究課題/領域番号 |
26293149
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
市原 佐保子 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 准教授 (20378326)
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研究分担者 |
田中 利男 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00135443)
竹下 享典 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70444403)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境衛生 / ナノ粒子 / 安全性 / 心血管毒性 |
研究実績の概要 |
環境による健康問題として、PM2.5(微小粒子状物質)などによる環境中の粒子に加え、ナノ素材などの新規工業的素材の健康への影響に社会的関心が高まり、生体影響に関するリスク評価や環境基準値の設定が求められている。本研究では、ナノ素材の血管系に対する影響とその障害機構を解明し、外部環境ストレスによる血管系に対するリスク評価のための科学的基礎資料を作成することを目的とする。 本年度は、動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損マウスを使用し、ナノ粒子との影響を比較検討するために、すでに血管系への影響が疫学研究にて明らかであるタバコ煙の粒子による血管障害の作用機序を検討した。タバコ吸入装置を使用し、研究用タバコ煙を低濃度または高濃度で1時間/5日/週投与した。投与28日後に、大動脈弓を、オイルレッドO溶液で染色し、動脈硬化の程度を検討し、またリアルタイム定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により、胸部大動脈におけるmRNA発現レベルを分析した。また、骨髄細胞をマウスの大腿骨から採取後、血管内皮前駆細胞の機能的な評価は、コロニー形成単位アッセイによって行い、その接着性は、共培養されたヒト大動脈内皮細胞に結合する血管内皮前駆細胞の能力によって評価し、タバコ煙による動脈硬化への影響とその作用機序を明らかにした。また、様々な種類の酸化金属ナノ粒子をembryo mediumに入れ、血管内皮細胞特異的な fli1 プロモーター制御下で緑色蛍光蛋白質(Green fluorescence protein: GFP)を発現するTg (fli1:egfp) ゼブラフィッシュの受精卵に投与し、酸化金属ナノ粒子の血管新生への関与を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験にて、タバコ煙投与後の動脈硬化モデルマウスの大動脈において、接着因子の遺伝子発現が増加し、酸化亜鉛ナノ粒子の投与にても、同様の変化が生じることを明らかにした。また、ゼブラフィッシュの実験では、イオン化する酸化金属ナノ粒子が、血管形成に影響を及ぼす結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
酸化金属ナノ粒子の結晶構造や表面性状の違いにより、心血管系に対する影響も違う可能性があるため、結晶構造や表面性状が違う酸化金属ナノ粒子やカーボンナノチューブを細胞や動脈硬化モデル動物に投与し、影響を比較検討する予定である。
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