研究課題/領域番号 |
26293150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原田 浩二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452340)
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研究分担者 |
小泉 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50124574)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境化学 / 曝露評価 / 放射性物質 / 福島第一原子力発電所事故 / 環境モデリング |
研究実績の概要 |
原発の廃炉解体作業に伴う、放射性物質の漏出による予期せぬ被ばく、農産物の汚染が懸念される。実際に我々はこれまでの近接地域での継続的モニタリングにより、2013年夏の突発的な大気中放射性セシウムの上昇を突き止めた。本研究では継続的モニタリング網を確立し、突発的濃度上昇に関わる自然要因、作業要因を同定し、また、大気モデリングによる拡散範囲を評価した。福島第一原子力発電所に近接する居住可能地域に大容量エアサンプラーを設置した。各地点、連続して大気粉じんを石英線維ろ紙上に捕集し、1日700~1,400m3の大気を収集した。アンダーセン式エアサンプラーも平行して設置した。大気粉じんを捕集したろ紙フィルターを定形のホルダーに装着し、高感度ゲルマニウム半導体検出器でγ線計測を行った。2014年度から2016年度にかけ、異常な濃度上昇は見られなかった。また川内村で仮設焼却施設が2015年1月から稼働したが、粉じん中の放射性セシウムに変化はなかった。この状況で地域外からの大気を経由する放射性セシウムの流入はほぼないと考えられた。2013年に異常上昇を認めた試料の粒子の分布は粗大粒子を中心とした組成であり、これをもとに大気拡散シミュレーションを行った。実測された大気中濃度、降下量を再現した。粉じんが降下したとされる南相馬市原町区10地点で、撹乱されていない箇所での土壌試料21検体について放射性ストロンチウム、プルトニウム分析を実施した。放射性ストロンチウムは比較的高い地点が見られるなど挙動、拡散は異なる可能性が示唆された。これらの結果から、二次拡散における粗大粒子の拡散は降下物量に有意な影響を与え、農産物汚染を引き起こしうることが示された。一方、工程における飛散防止によりコントロールは可能であり、工法の遵守が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モニタリング網の構築とモニタリング、拡散・リスク評価を当初の計画通り行った。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに研究を完了したが、その成果を学会発表、研究対象地域への報告、学術雑誌に報告するために学術研究助成基金助成金の補助事業期間を1年度延長する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに遂行し、課題は完了したが、自治体によるモニタリングデータの活用などで効率的に実施できたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通りに研究を完了したが、その成果を学会発表、研究対象地域への報告、学術雑誌に報告する。
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