平成28年度は、主成分分析食事パターンと冠動脈死亡リスクおよび脳卒中死亡リスクとの関連を検討した。コホート参加者は49-76歳の男女12948名であるが、性別・年齢5歳階級別のエネルギー摂取量が上下各1%の者および調整要因が欠損値であった者を除外し、12668名を解析対象とした。国外移住の6名を除き、全員について2013年12月末現在の消息が確認された。2013年12月末までの死亡は合計641例であった。平均観察年数は8年であった。動脈疾患による死亡は19例、脳卒中による死亡は38例であった。食事パターンスコアあるいは食品群摂取量の4等分位で4群に分け、ハザード比を比較した。性別、年齢5歳階級、喫煙(4分類)、飲酒(5分類)、肥満度(4分類)、仕事の身体活動(性別4等分類)、余暇の運動(性別4等分類)及びエネルギー摂取量(性別4等分類)を統計学的に調整した。また、冠動脈疾患、脳卒中およびがんの既往の有無を調整要因として加えた。29の食品・食品群の摂取量に基づき主成分分析を実施し、3つの食事パターンが同定された。第1成分は、大豆製品、野菜、果物、きのこ、海藻、魚および緑茶の高摂取で特徴づけられる食事パターンで、健康的食事パターンと解釈された。第2成分は、牛肉・豚肉、肉加工品、鶏肉、卵などの高摂取で特徴づけられ、動物性食事パターンと解釈された。第3成分は洋朝食パターンであり、パン、緑黄色野菜、野菜ジュース、果物ジュースおよびヨーグルトの高摂取で特徴づけられた。これらの食事パターンのいずれも冠動脈死亡リスクとの関連を示さなかった。脳卒中死亡リスクは動物性食事パターンのスコアが高いほど低下していた。米飯、大豆製品、野菜、果物、魚、肉類、牛乳、緑茶およびコーヒーとの関連を個別に検討したところ、肉類および緑茶飲用と関連した脳卒中死亡リスクの低下が観察された。
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