研究課題
平成26年度は計画通り、JADE Studyのデータを元に効果が見込まれるハイリスク薬剤やトリガーとなる症状、リスクファクターを抽出した。それらの情報を元に、処方時におけるガイド及び入院中の薬剤性有害事象を自動的に警告する臨床決断支援システムの元となる臨床決断ルールを決定した。その臨床決断ルールを元に研究対象施設で電子カルテ・オーダリングシステムの担当者や病院薬剤師と協力して臨床決断支援システムを開発して、導入可能な状態とした。臨床決断支援システムの開発と並行して、前向きコホート研究を行うための準備を開始した。対象診療科の選択やデータ収集方法、アウトカムの測定方法について検討を行い、前向きコホート研究を行う準備が整った。対象施設は臨床決断支援システムを導入する施設とし、研究対象期間において、小児科・産婦人科を除くすべての診療科に入院した15歳以上のすべての入院患者を対象とする。この前向きコホート研究では、臨床決断支援システムの導入前の対照期間には、臨床決断支援システムをバックグラウンドで走らせて、潜在的な介入機会を測定し、臨床決断支援システムの導入後は、これらの介入機会の頻度を測定し、同時に介入前後における薬剤性有害事象の発生率を測定する。平成26年度は、これらの研究に加えて、臨床決断支援システムの受け入れ度や医療従事者の態度を評価する横断研究用の質問紙も作成した。これらの研究を元に平成27年度は予定通り、臨床決断支援システムの効果を測定する予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度中に、予定通り、臨床決断ルールを作成し、臨床決断支援システムについても実装可能な状態とした。その上で、対照期間となる臨床決断支援システム導入前における前向きコホート研究も実施しており、今後も予定通りの研究成果が見込まれる。さらに、学会発表や論文報告を行っている。
当初の予定通り、臨床決断支援システム導入前・後における前向きコホート研究を実施し、臨床決断支援システムの導入の前後における薬剤性有害事象の発生率の変化や患者アウトカムについて、データの入手及び解析を実施する。さらに、医師を対象とした横断研究を実施し、臨床決断支援システムが日常診療に与える影響を医師の視点から評価する。これらの研究の実施中に、薬剤性有害事象以外の医療安全に関する知見が得られれば、将来的な研究課題として、必要な予備解析を行う。
旅費として2名(研究代表者+研究分担者)の国際学会での発表を予定しており、演題も2名ともアクセプトされていたが、研究代表者の大学の代替できない用務が重なったため、研究分担者1名が参加し、2名分の発表を行ったため、その分が次年度の使用となった。調査票の回収・入力作業の人件費については、研究対象施設内でデータが長期間とどまり、研究代表者の施設での作業が減ったことで、次年度の使用となった。
次年度使用となった旅費については、予定通りの学会での使用に加えて、前年度実施できなかった情報収集のための旅費として使用される。また、人件費については、データ解析のための研究代表者の施設での作業が増加することが見込まれることから、そのための人件費として使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (3件)
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