研究課題/領域番号 |
26293161
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小湊 慶彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30205512)
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研究分担者 |
中島 たみ子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40008561)
高橋 遥一郎 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50640538)
佐野 利恵 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70455955)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ABO遺伝子 / 転写調節 |
研究実績の概要 |
研究期間に1)上皮細胞特異的なエンハンサーを見出し、2)赤血球系細胞の分化成熟時に働く、サイレンサー機構の存在を示唆するデータが得られた。 1)上皮細胞におけるABO遺伝子の転写調節機構を調べるために、(1)Genome Browserのデータに基づいて、遺伝子内、若しくは周囲に存在するDNase I hypersensitive site(DHS)を調べたところ、転写開始点下流22.6-kbに存在するDHS、+22.6-kb siteが上皮細胞特異的であることを見出した。(2)その領域の塩基配列を組み込んだレポーターベクターを作製し、ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、上皮細胞特異的な転写活性を示した。(3)CRISP/Cas9システムを用いて+22.6-kb siteを欠損したKATOIII細胞を作製したところ、ABO遺伝子の発現は低下し、細胞表面の抗原量が減少していた。以上より、+22.6-kb siteが上皮細胞特異的なエンハンサーとして働く可能性が示唆された。 2)転写開始点下流36-kbに存在するDHS、+36-kb siteの機能を調べるために、(1)K562細胞にNa butyrateを添加すると細胞の分化が進み、グロビン遺伝子が発現するが、逆にABO遺伝子の発現量が低下することを見出した。この現象は赤血球系細胞の分化成熟において、ABO遺伝子の発現量が低下することと一致している。(2)CRISP/Cas9システムを用いて+36-kb siteを欠損したK562細胞を作製した。Na butyrateを添加してもABO遺伝子の発現量が低下することはなかった。以上より、+36-kb siteがサイレンサーとして働く可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請研究の目標が、1)上皮細胞特異的なエンハンサーの同定、2)+36-kb siteの機能の同定であったことから、研究期間に1)上皮細胞特異的なエンハンサーを見出し、2)赤血球系細胞の分化成熟時に働く、サイレンサー機構の存在を示唆するデータが得られたことから、上記の評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
1)+22.6-kb siteが上皮細胞特異的なエンハンサーとして働く。(1)+22.6-kb siteに結合する組織特異的な転写因子の同定、(2)+22.6-kb siteの変異、若しくは結合する転写因子の変異によってもたらされる表現型の変化を調べる。 2)+36-kb siteがサイレンサーとして働く。(1)(1)+36-kb siteに結合する組織特異的な転写因子の同定、(2)+36-kb siteの変異、若しくは結合する転写因子の変異によってもたらされる表現型の変化を調べる。
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