研究課題/領域番号 |
26293163
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
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研究分担者 |
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 体内時計 / 死亡時刻推定法 / 熱中症 / 低体温症 / 薬物中毒 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは体内時計に基づく死亡時刻推定法を開発し、法医実務に応用可能な有用な方法であることを既に報告したが、本法を実際に実務に用いるには様々な問題があることが分かってきた。すなわち、死亡に至る環境や薬毒物等が体内時計に様々な変調を引き起ことが考えられ、死亡時刻で停止した体内時計と実際の死亡時刻にずれが生じる可能性がある。本研究では研究代表者らが実際に経験した熱中症事例における死亡時刻と体内時計が示す時刻のずれを分子生物学的に説明することを目指して熱中症モデルマウスの作製を検討したが、当初計画したような深部高体温を安定して得ることが困難であり、熱中症モデルを得るには至らなかった。現在もケージおよびチャンバーに改良を加え鋭意検討中であり、27年度中には熱中症モデルを確立できるものと考えている。実験計画では、当初27年度に行う予定であった低体温症モデルマウス作製の予備的検討を26年度に前倒しで行い、マウスを除毛クリームにより全身を除毛した後、低温チャンバーに置くことで確実に低体温症モデルを作製出来ることが確認出来ている。更に、マウス個体からの臓器の採取および、各臓器からのRNAやタンパクの抽出手技は確立しているので、27年度は熱中症モデルと低体温症モデルを並行して行うことで、26年度の実験計画の遅れは解消できるものと考えている。本研究により体内時計に基づく死亡時刻推定法の適用限界が明らかになれば、体内時計に基づく死亡時刻推定法がより実用に近づくもと考えている。また、実験計画には記載していないが、皮膚創傷の治癒過程における体内時計の変化について検討を行い、皮膚組織におけるオートファジーの概日振動が抑制される事を明らかにし、法医損傷検査への応用の有用性を示す結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた熱中症モデルマウスの作製に手間取り、研究の進行が遅れている。しかし、27年度に行う予定の低体温症モデルの予備実験を並行して行い、モデル確立の目途をつけることが出来た。従って、計画全体としてはやや遅れていると評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の予備実験でモデル確立の目途が立っている低温症モデルの実験を着実に進める予定である。熱中症モデルは、チャンバーとケージおよび実験条件の全てを改良することでモデルの確立が可能になると考えている。本年度は、臓器試料採取に加えて遺伝子発現の解析まで研究を進めることが出来ると考えている。
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