頭部外傷の受傷直後に死亡した患者では脳浮腫や脳ヘルニアが形成されていなく、死因診断が困難である。頭部外傷による受傷直後の急死のメカニズムを外傷性脳損傷モデル動物と法医剖検例で解析した。モデル動物では頭頂部に外力が作用した場合に高頻度に心停止が生じ、頭部外傷直後に心停止を来した剖検例は何れも頭頂部に損傷が認められたことから、頭頂部の打撲が受傷直後の心停止による死亡に関係していることが考えられた。また、外傷性脳損傷モデル動物では脳幹部中脳に神経細胞変性が生じ、老化細胞が外傷性脳損傷の増悪に関係していることが示唆された。
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