研究課題
ウェルナー症候群(Werner syndrome, WS)はRecQヘリカーゼファミリーWRNを原因遺伝子とする常染色体劣性の遺伝性早老症である。WS患者のテロメア長は同年代の正常人のテロメア長よりも短いことが報告されており、テロメア短縮と早老症の関連が示唆されている。本研究では、テロメアの不安定性とWRN機能の関連を再確認するために、WRNとテロメラーゼ逆転写酵素TERTの2重欠損マウスを作製し、表現型を解析した。またWS患者由来細胞の特徴を細胞老化様の変化に着目して解析した。Wrn欠損マウスとTert欠損マウスを交配してWrn/Tert 2重欠損マウスを作製した。さらに同世代間で交配して第4世代 (TertG4/G4)まで作製し表現型を解析した。Wrn-/-, TertG4/G4マウスは正常に生まれ、体重の差もなく正常に発育した。さらにWrn遺伝子の有無に関わらずTertG4/G4マウスはテロメア長も有意に短縮し、テロメラーゼ活性低下の確証を得た。Wrn-/-, TertG4/G4マウスは、ほとんどの臓器で組織学的な変化を示さなかったが、精巣組織で、有意な精細管の不整が認められた。皮膚組織はWrn-/-, TertG4/G4マウスで皮膚萎縮を示したが、Wrn+/+, TertG4/G4マウスでも同様な萎縮を示したため、Wrn欠損の影響は認められなかった。WSの早老病態におけるテロメア長短縮の寄与は低い可能性が示唆された。さらに、WS患者由来皮膚線維芽細胞を用いた細胞生物学的解析から、細胞内活性酸素の増加と細胞核の肥大化が共通して認められた。しかし、細胞老化関連分泌表現型に関連する遺伝子発現は、患者間のバラツキが大きく有意な差が得られなかった。WS患者細胞は、細胞核肥大など細胞老化の一部の特徴を再現することが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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