研究課題/領域番号 |
26293170
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
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研究分担者 |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 准教授 (00246589)
加野 浩一郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80271039)
風間 智彦 日本大学, 医学部, 研究員 (80525668)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医学 / 脂肪細胞 / 脱分化脂肪細胞 / エクソソーム / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
①脱分化脂肪細胞(DFAT)、骨髄間葉系幹細胞(MSC)、脂肪組織由来幹細胞(ASC)のセクレトーム解析 人工関節置換術を受ける患者を対象に皮下脂肪組織、骨髄液の提供を受け、皮下脂肪組織から皮下脂肪由来DFATおよびASCを調製し、骨髄液から骨髄脂肪由来DFATおよび骨髄MSCを調製した。それぞれの細胞の培養上清を採取し、分泌されたサイトカインを網羅的に解析した。その結果、検討した4種類の細胞ともに分泌量の多いサイトカインとしてMCP-1、IL-6、IL-8、GRO、TIMP-1、TIMP-2などが同定された。ELISA法にて定量解析した結果、皮下脂肪由来DFATでは、ASCや骨髄MSCに比べ、HGF、SDF-1、VEGF、Leptinの発現が高い傾向があることが明らかになった。 ②DFAT、骨髄MSC、ASCに由来するexosomeの解析 上記細胞の培養上清よりexosome濃縮試薬を用いてexosomeを単離した。電子顕微鏡観察にて直径約50-100nmのexosomeに特徴的な脂質小胞を認め、またウエスタンブロッティング法により、exoxomeマーカーであるCD63の発現を確認した。単離したexosomeからtotal RNAを抽出し、マイクロRNAが高濃度に含有されていることをバイオアナライザーにて確認した。ウエスタンブロッティング法にてexosome中に含有されるタンパク質の同定を試みたが、タンパク質の含有量が微量であったため同定には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DFAT、骨髄MSC、ASCのセレクトーム解析に関しては予定どおり、特徴的な分泌タンパク質の同定に至った。 DFAT、骨髄MSC、ASCに由来するexosomeの解析に関しては、予定どおりそれぞれの細胞の培養上清からのexosomeの単離およびマイクロRNAの抽出に成功した。当初マイクロRNAのプロファイルをmiRNAマイクロアレイなどを用いて解析する予定であったが、サンプル数を蓄積し同時に解析した方がよいとの判断から、本年度は解析まで至らなかった。マイクロアレイ用サンプルの調整はほぼ終了しており、平成27年度早期には、解析を実施できる予定である。以上の理由により研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今回DFAT、骨髄MSC、ASCの培養上清から抽出したexosome中のタンパク質解析を行ったが、採取できるタンパク質量が微量であったため、特徴的なタンパク質の同定には至らなかった。一方、exosome中のマイクロRNAに関しては、miRNAマイクロアレイによる網羅的解析や、RT-PCR法による定量解析ができる十分量のRNAが再現性よく抽出できることが明らかとなった。今後、exosome中のマイクロRNAを中心に解析を進め、各種培養細胞におよぼす影響などを検討していく予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、exosomeから抽出したRNAのmiRNAマイクロアレイ解析を外部委託する予定であったが、サンプル数を蓄積後、同時に解析した方がよいとの判断から、本年度中の発注に至らなかった。このため「その他」経費に余剰が生じ、これらを次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に繰り越したmiRNAマイクロアレイ解析の外部委託は、平成27年度上半期に実施する予定である。
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