研究課題
ヒト癌組織には多様なゲノム・エピゲノム異常の報告がなされているものの、その生成機序に関しては大部分が不明のままである。申請者らは、肝細胞を含むさまざまな上皮細胞に異所性に、炎症性サイトカイン刺激により遺伝子編集酵素AIDが発現誘導されること、その結果、発癌に関連したゲノム異常が生成・蓄積し、癌細胞の発生に重要な役割を果たしていること、が明らかにしてきた。本研究課題では、慢性炎症により持続的にAIDを発現した肝細胞に生成・蓄積するゲノム/エピゲノム異常を統合的に解析することにより、ヒト肝癌発生の分子機構を解明することを目的とした。肝細胞に特異的にAIDを持続発現させるため、肝細胞系統の分子マーカーのプロモーター依存性にAIDが発現誘導される遺伝子改変マウスとしてAIDコンデイショナルトランスジェニックマウス(AID-cTg)を準備した。このマウスと、肝細胞系マーカーとして、EpCAM, アルブミン(ALB)に着目し、それぞれのプロモーター配列下流にCreをknock in したマウス(EpCAM-Cre, ALB-Creマウス)を交配させることにより、EpCAM, ALB発現細胞にAIDを発現するEpCAM-AIDマウス、ALB-AIDマウス、をそれぞれ作成し表現型の解析を行った。また、AIDと協調して脱メチル化反応を担っているTETファミリー分子が同定されていることから、これらのTETファミリー分子の発現を肝細胞特異的にノックアウトしたTETコンディショナルKOマウスを樹立し、EpCAM-TET KOマウス、ALB-TET KOマウス、の表現型の解析を行った。これらのマウスでは高率に肝癌を発生することが明かとなったため、それぞれのモデルマウスに発生した肝癌組織のゲノム異常・エピゲノム異常を、次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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