研究課題
我々が世界に先駆けて作製したインテグリン α8β1 阻害抗体 (特願 2011-537260)は、マウスの実験で明瞭な抗線維化作用を示した。本研究では、医薬への展開の適否を判断する。これまでに、1) 分化促進の機序、2) 臓器を問わない効果、3) ヒトの線維化に外挿できるか、4) インテグリンα8β1のTGFβ活性化、5) 腎臓の線維化との関連を明らかにした。これらの結果は、α8β1阻害が組織線維化の抑制に有用であることを示しており、α8β1抗体は医薬として開発するにふさわしいと考えられる。本年はインテグリンα8鎖を除去した場合、線維化が生じにくくなるかをマウスを用いて検討した。α8はglobalに除去した場合、腎の発生が障害され致死的になるため、線維芽細胞のα8鎖だけを除去するように、PDGFRβプロモーター下にCreを発現するマウスとITGA8flox/floxマウスを交配した。そのマウスに、四塩化炭素により肝臓の線維化を誘導したところ、予想に反して線維化は障害されず通常どおり生じた。つまり、インテグリンα8β1が発現されてなくとも線維化は生じ、α8β1が線維化にとって必須ではないことを示していた。この理由について、線維芽細胞には複数のインテグリンが発現しており、発生時からずっとα8β1が機能しない状態で発達した肝臓では、その機能が他のインテグリンにより代償されるのではないかと考えた。そこで次に、成長するまでα8を保持し、タモキシフェン投与によりα8の発現を失うマウスを作製し、α8発現喪失直後に四塩化炭素を投与することを計画している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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