研究課題/領域番号 |
26293175
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
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研究分担者 |
山際 訓 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10419327)
上村 顕也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00579146)
佐藤 祐一 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00401761)
川合 弘一 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80419291)
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70464005)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝再生 / 線維化改善 / 間葉系幹細胞 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
我々は人に対して自家骨髄細胞を投与するAutologus Bone Marrow cell injection therapy (ABMi)を開発してきた。その中で特に効果を発揮する細胞として間葉系幹細胞とマクロファージに着目した。そして我々はまずマウス骨髄から、間葉系幹細胞とマクロファージをそれぞれ選択的に培養する技術を確立した。
間葉系幹細胞は培養後MMP-13, TIMP, SDF-1などを強く発現し、肝障害血清を加えるとMMP発現が強まり、TIMPが減弱し、SDF-1や免疫調整に関わるIL-10の発現の増強が起きることが明らかになった。またマクロファージ我々の培養条件でMMP7,8,9,12,13と広範なMMPを発現するのに加え、肝再生に関わるHGF, Oncostatin-M, 免疫調整に関わるIL-10, マクロファージや好中球の遊走に関わるMCP-1やCXCL1などを強く発現することがわかり、肝障害血清を加えるとOncostatin-MやMMP13の発現が強くなることが明らかになった。
このように両細胞は発現物質に大きな違いがあることがわかった。そこで間葉系幹細胞、マクロファージ、両者の1:1の混合細胞の投与を行い肝線維化改善に対する効果を見たところ、両者の1:1の混合細胞の投与が最も効果的であることがわかった。この結果は両細胞の相互作用が肝線維化改善に寄与することを示唆し、新たな線維化改善のメカニズム解明へ一歩近づいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は間葉系幹細胞と、培養マクロファージを混合投与することで高い線維化改善効果があることを世界で初めて発見し、このことは線維化改善に向けた生体内でのメカニズム解析の可能性を開いたため。 また、今後のメカニズム解析に向け、それぞれの細胞の発現物質の違い、相互作用を起こしうる候補物質を選定しており、今後解析が行えることが見通せるため。
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今後の研究の推進方策 |
我々は間葉系幹細胞と、培養マクロファージを混合投与することで高い線維化改善効果があるという重要な事実を発見した
我々はこの事実を基盤に、メカニズムの解析を行い将来の再生医療の開発を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が2754円と試薬などの購入に不十分で次年度に持ち越し、実験試薬の購入に持ち越したほうが効果的に実験が行えると考えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の培養試薬の購入の一部に充てる予定である。
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