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2014 年度 実績報告書

ACFを標的とした新しい高感度分子イメージング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26293176
研究機関徳島大学

研究代表者

高山 哲治  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10284994)

研究分担者 中川 忠彦  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 学術研究員 (40634275)
佐野 茂樹  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20226038)
六車 直樹  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90325283)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードACF / 分子イメージング / 蛍光プローブ
研究実績の概要

本研究では、まずaberrant crypt foci (ACF)の分子イメージングを行うためにACFに特異的に発現する分子を検討した。大腸腺腫患者を対象に拡大内視鏡下にACFを観察後、生検採取したACF組織よりRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行い特異的に発現するmRNAを検索した。この結果得られた、各種候補遺伝子の発現をTaqman PCRによりvalidation したところ、GST-π、epidermal growth factor receptor (EGFR), platelet derived growth factor receptor (PDGFR), glut-1, cadherin, beta-catenin, c-MET, SLC7a7, TRIM29の10遺伝子の過剰発現が確認された。さらに、免疫染色を行いACF組織におけるこれらの遺伝子の蛋白質発現を確認した。一方、本研究では動物発癌モデルを用いたACFのイメージング研究も計画していることから、動物のACF組織を用いてこれらの10遺伝子の発現を検討した。azoxymethane誘導ラット大腸発癌モデルを作成し、ACF組織を採取してTaqman PCRを行ったところ、ラットではglut-1, EGFR, PDGFR, GST-π、などの過剰発現を確認した。以上より、まずglut-1に対する標識プロープとしてD-glucosamine hydrochlorideよりTexas red標識化合物である2-TRG [Texas Red (sulforhodamine 101 acid)- coupled 2-amino- 2deoxyglucose]を合成した。また、PDGFRの基質であるダサチニブを基に蛍光標識プローブを作成した。EGFR, GST-πに対する標識プローブも間もなくできる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、ヒトACF組織を用いてマイクロアレイ解析を行い、正常大腸組織に比べて過剰発現する10遺伝子(GST-π, EGFR, PDGFR, glut-1, cadherin, β-catenin, c-MET, SLC7a7, TRIM29)を抽出することができた。また、今後のラットを用いた研究も視野に入れ、ラット化学発癌モデルのACF組織の検索も行い、GST-π, EGFR, PDGFR, glut-1はラットACFにおいても過剰発現することを見出した。さらに、glut-1, PDGFRに対する蛍光標識プローブを作成することができた。EGFR, GST-πに対する標識プローブも作成できる状況にある。このように、平成26年度はACFに発現する標的分子を絞り込み、それらに対する蛍光標識プローブの作成まで行ったという点で概ね初めの計画を達成していると考えている。

今後の研究の推進方策

まず、上記の蛍光標識プローブを多量に作成し、培養細胞を用いてそれぞれのプローブの有効性及び特性を評価する。また、蛍光プローブの生細胞に対する反応動態を明らかにする。その後、大腸癌細胞の同所移植モデル及びazoxymethane誘導ラット大腸発癌モデルを用いてACF(及び腺腫)のイメージングを行い、各プローブの有用性を検討する予定である。
1)培養細胞を用いた各種蛍光プローブの特性の解析:培養大腸癌細胞に蛍光プローブを添加し、Flow-cytometryにより蛍光強度の変化などを調べ、Eadie-Hofstee plot解析により反応速度及び反応動態を明らかにする。
2)大腸癌細胞の同所移植モデルを用いた分子イメージング: 標的分子を過剰発現する培養大腸癌細胞と発現しない細胞をヌードマウスのS状結腸(または直腸)に同所移植を行い、4週間後に屠殺して摘出S状結腸(または直腸)にex vivoで蛍光プローブを散布し、蛍光顕微鏡を用いて観察する。経時的に観察して至適反応時間を調べる。経時的に観察して至適反応時間を調べる。さらに、動物用蛍光内視鏡を用いてS状結腸(または直腸)の癌を観察し、イメージングを確認する。
3)Azoxymethaneラット大腸発癌モデルにおけるACFの観察:ラットにazoxymethaneを腹腔内投与し、8週後にラットを屠殺、すぐに大腸を摘出してex vivoで大腸粘膜に蛍光プローブを散布する。37℃で3~15分間インキュベートしたのち、蛍光顕微鏡下にACFを観察する。さらに、動物用蛍光内視鏡を用いてACFのイメージングを行う。

次年度使用額が生じた理由

まず、ヒト大腸のaberrant crypt foci (ACF)における遺伝子のマイクロアレイ解析及び各遺伝子のTaqMan PCR解析などが当初の予定よりも順調に進んだため、これらの試薬やプライマーなどの経費が抑制された。その一方で、標的遺伝子に対する蛍光標識プローブを複数合成したが、その一部は蛍光物質の付加により反応性が低下するなどの問題が生じ、プローブの合成の実験が少し遅れた。そのため、蛍光標識プローブを用いたin vitroの実験、培養細胞を用いてプローブの特性、反応性などを調べる実験が少し遅れる結果となり、これらにかかる経費が抑制された。

次年度使用額の使用計画

現在、反応性の良い蛍光標識プローブが合成されつつあるので、これらのプローブの標的分子との反応性、蛍光特性などを調べるためin vitroの実験を行う予定である。また、種々の培養大腸癌細胞を用いて、それぞれの蛍光標識プローブの特性、反応性、反応動態などを調べるとともに、経時的な細胞内局在の解析も行う予定である。さらに、動物を用いたin vivoのイメージング研究を行う予定である。
尚、本研究では多種類の培養細胞株を扱う必要があるため、細胞培養に関連して実験に研究補助員を雇用する予定である。また、得られた研究成果の発表及び研究結果を議論するため、一部の経費を学会参加のための出張旅費に当てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] B-RAF mutation and accumulated gene methylation in aberrant crypt foci (ACF), sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) and cancer in SSA/P2015

    • 著者名/発表者名
      Inoue A, Okamoto K, Fujino Y, Nakagawa T, Muguruma N, Sannomiya K, Mitsui Y, Takaoka T, Kitamura S, Miyamoto H, Okahisa T, Fujimori T, Imoto I, Takayama T
    • 雑誌名

      Br J Cancer

      巻: 112 ページ: 403-412

    • DOI

      10.1038/bjc.2014.545

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Biomarkers for predicting the efficacy of anti-epidermal growth factor receptor antibody in the treatment of colorectal cancer2014

    • 著者名/発表者名
      Okada Y, Miyamoto H, Goji T, Takayama T.
    • 雑誌名

      Digestion

      巻: 89 ページ: 18-23

    • DOI

      10.1159/000356202

    • 査読あり
  • [学会発表] SSA/P-cancer sequenceにおけるACFの前癌病変としての意義 ― 右側大腸癌のバイオマーカーとしてのACF ―2015

    • 著者名/発表者名
      岡本耕一、藤野泰輝、中川忠彦、井上篤、松本早代、田中久美子、三宮勝隆、北村晋志、六車直樹、岡久稔也、高山哲治
    • 学会等名
      がん予防学術大会さいたま
    • 発表場所
      ラフレさいたま(埼玉県さいたま市)
    • 年月日
      2015-06-05 – 2015-06-06
  • [学会発表] 大腸癌におけるEpidermal Growth Factor Receptor(EFGR)をターゲットとした分子イメージングと薬効評価2014

    • 著者名/発表者名
      宮本佳彦,六車直樹,北村晋志,影本開三,岡田泰行,岡崎 潤,松本早代, 末内辰尚,三井康裕,田中久美子,藤野泰輝,木村哲夫,宮本弘志,高山哲治.
    • 学会等名
      第88回日本消化器内視鏡学会総会
    • 発表場所
      神戸国際展示場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-10-23 – 2014-10-26
  • [学会発表] Optical Molecular Imaging and Assessment of Therapeutic Response of Colorectal Cancer Targeting Epidermal Growth Factor Receptor.2014

    • 著者名/発表者名
      Muguruma N,Miyamoto Y,Fujimoto S,Fujino Y,Okada Y,Kitamura S,Kimura T,Okamoto K,Miyamoto H,Takayama T.
    • 学会等名
      The world Molecular Imaging Congress.
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-20

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公開日: 2016-06-01  

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