研究課題
次世代シークエンス技術の進歩により, 網羅的ながん遺伝子変異同定が可能になった.しかしながら,発がんに寄与するドライバー遺伝子変異の同定はバイオインフォマティクスによるin sillico解析に依存してきた.我々は,大腸上皮組織を体外でミニ組織化し,複数の遺伝子を同時に破壊する,ヒト大腸上皮ノックアウト技術を確立した.本技術を用い,大腸がんの3%程度以上に認める25個の遺伝子を様々な組み合わせでノックアウトまたは変異ノックインし,人工大腸がんの作製およびその細胞生物学的特性の解析を行う.構築されるドライバー遺伝子機能解析基盤は汎用性が高く,様々な創薬スクリーニング応用が期待でき,高い社会的波及効果を併せ持つ.
2: おおむね順調に進展している
5個の大腸がんに高頻度に認められる遺伝子変異を標的としたCRISPR-Cas9ベクターと遺伝子変異ノックインドナーベクターの作製を行い,ヒト正常大腸オルガノイドに対するエレクトロポレーションによる遺伝子ノックアウトまたは遺伝子変異ノックインを行った.遺伝子変異はSurveyor assayおよびシークエンス解析により確認を行った.遺伝子改変オルガノイドは異種移植により腫瘍形成を認め論文報告を行った(Matano et al. Nature Medicine 2015). さらに,20個の遺伝子に対するCRISPR-Cas9ベクターの作製を完了し, ヒト大腸オルガノイドへエレクトロポレーション,Surveyor assayによる遺伝子ノックアウトを確認し, 異種移植実験による浸潤・転移能の変化を検証している.現在までに,実験計画通り,順調に実験目標が達成されていると考えられる.
これまでの研究計画通りに研究は遂行されており,また,当該研究室でこれまでに蓄積されたオルガノイド技術のノウハウを有効利用することにより,順調に研究を推進できると考えている.
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