研究課題
酸化ストレス応答による肝発癌抑制機構の解析として、ミトコンドリア品質管理を制御するミトコンドリア特異的オートファジー(マイトファジー)の分子機構について検討した。前年度までに鉄キレート剤(Deferiprone)によりマイトファジーが誘導され、そのkey moleculeとしてミトコンドリアフェリチン(FtMt)がオートファジー基質であるNuclear Receptor Co-activator 4 (NCOA4)と結合することを報告した。今年度はさらにFtMtはそのミトコンドリア移行シグナルでミトコンドリアに移行するものの、障害を受けミトコンドリア膜電位の低下したミトコンドリアに対してのみミトコンドリア外膜に係留する形で存在することを明らかにした。ミトコンドリア外膜に係留したFtMtは細胞質に存在するNCOA4と結合することで、隔離膜が形成され、マイトファジーが誘導されることを証明した。これまでマイトファジーの誘導機構としてはParkin/PINK1シグナルが報告されていたが、本研究で明らかにしたFtMtを介するマイトファジー経路はParkin/PINK1経路とは独立したマイトファジー誘導機構であった。細胞内の鉄がミトコンドリアの品質管理を制御する新たな分子機構を明らかにするとともに、鉄キレート剤によるマイトファジーの誘導は肝発癌を抑制することを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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