研究課題
炎症性腸疾患(inflammatoryboweldisease;IBD)はクローン病、潰瘍性大腸炎に分類される難治性疾患であり、病態は不明なところが多い。下記研究計画に基づき、研究を行った。1)新規Inflixamab導入患者検体を用いた前向き研究A)IBD検体の臨床診断および治療効果の判定(鈴木、江崎、梅野、本谷):多施設共同研究機関である東邦大学、九州大学、札幌厚生病院と連携し、前向きに調査する。昨年度九州大学を中心に42検体の収集を行った。B)ゲノム・エピゲノム関連領域の同定(山崎、Low):A)にて得た検体について、WGBSを行う。ライブラリー調整方法の検討を終了し、解析方法のパイプラインを構築中である。2)imputationを用いた新規IBD関連領域同定(山崎、冬野、Low):GWASデータを元にimputation(ジェノタイプデータの推測)を行い、クローン病・潰瘍性大腸炎・炎症性腸疾患の関連領域の探索を行った。候補領域を別検体を用いた検証を行い、2か所のクローン病関連領域(1p36 (rs876109; P = 4.01×10-7), 11q21 (rs4435033; P = 4.55×10-7)、1か所の潰瘍性大腸炎関連領域(18q23 (rs4798947; P = 5.39×10-7)を見つけた。本研究成果はASHG (The American Society of Human Genetics) 62th Annual Meeting [ポスター]にて報告した。
3: やや遅れている
1)新規Inflixamab導入患者検体を用いた前向き研究"A)IBD検体の臨床診断および治療効果の判定"についてはInflixmab新規導入患者が少ないため、検体収集が予定ほど進んでいない。"B)ゲノム・エピゲノム関連領域の同定"は、ライブラリー調整方法の検討は終了している。MiSeqを用いたラン条件の検討は終わっているが、HiSeqは現在検討中である。2)imputationを用いた新規IBD関連領域同定基礎データの取得が終わっており、現在論文作成中である。以上の達成状況より、「(3)やや遅れている」とした。
本計画の進捗状況を左右しているのは「1)新規Inflixamab導入患者検体を用いた前向き研究 - A)IBD検体の臨床診断および治療効果の判定」である。Inflixmabの新規導入患者数が少ない(IBDの患者数が少ないことに加え、患者の多くがすでに導入済みであるため)ことは発案時より考慮していたことであるが、実エントリー数は予想を下回っている。またエントリーしたものの、患者の転居等により追跡不可能な事例が生じている。収集済み検体を用いて、一部研究デザインの変更を検討し、可能な限り検体を最大限いかせるようにしていきたい。
分担研究者担当の試料収集が予定を下回ったため、収集に関連する費用、また新規収集検体を用いた計画が遂行できなかった。
次年度以降の新規検体の収集費用、また新規検体を用いた計画に使用する。
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