研究課題
[1] 脱細胞化マトリックスの作製: 野生型Wistarラット(8週齢)から心臓を摘出し、ランゲンドルフ灌流状態で、SDSおよびTritonXを灌流し、すべての細胞を除去した脱細胞化心(細胞外マトリックス)を作製した。[2] ラット新生仔由来心筋細胞の再播種:新生仔ラットより心臓を摘出し、酵素法により、心臓構成細胞を単離、培養し、おおよそ1x10^8の浮遊心臓構成細胞を得た。アデノウイルスを用いて、これらの浮遊心臓構成細胞にGFPあるいはCa感受性蛍光色素GCaMP2の遺伝子導入を行なった。その後、これらの細胞を、[1]で作成した脱細胞化細胞外マトリックスに大動脈経由で冠動脈注入した。再細胞化心臓はフラスコ内に留置し、ペリスタポンプで灌流しながら、インキュベータ内で培養を続けたところ、再播種数日後より再生心全体の自己拍動が観察された。[3] 再細胞化心の機能解析(光学的心表面興奮マッピングおよび圧測定実験):再細胞化心をランゲンドルフ灌流し、高速CMOSカメラを用いて、光学的心表面マッピング実験を行い、再生心臓の興奮生成・興奮伝播過程を調べた。その結果、再細胞化心全体が同期して興奮するタイプの他に、また、心表面電位図を記録するとともに圧センサー付カテーテル(Millar社)を左室に直接挿入し、左室内圧を測定した。さらに、再細胞化心臓を固定し、免疫染色あるいは電子顕微鏡撮像により、形態を評価した。上記の成果は Yasui et al. Biomaterials 2014にて報告した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した、新生仔ラット心臓構成細胞を用いた3次元心筋組織の構築とその形態解析および機能解析研究を遂行できたため、おおむね順調に進展していると自己評価した。
平成26年度の業績をもとに、新生仔ラット心臓構成細胞の脱細胞化マトリックスへの生着効率をさらに高める方法について検討を行う。また、iPS細胞由来心筋細胞を脱細胞化心臓マトリックスに播種し、再細胞化心臓の機能および形態評価を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Biomaterials.
巻: 35 ページ: 7839-7850
10.1016/j.biomaterials
PLoS One
巻: 9 ページ: e111064
10.1371/journal.pone.0111064