研究課題
本研究課題においては、これまでに脱細胞化心臓マトリックスを用いた3次元臓器様心筋組織構築(Yasui et al. Biomaterials. 2014)方法を報告した。当該年度においては、再播種心筋細胞が細胞外マトリックスに生着するうえで必要な細胞接着因子の発現を制御する生理活性物質を調べた。その結果、EGF、bFGF、vEGF、IGF1、Ascorbic acid、Heparin、Hydrocortisoneを含む内皮関連因子をラット新生仔培養心室筋細胞に添加すると、接着因子のlaminin-alpha2とN-cadhelinの遺伝子発現の有意に増加が観察された。この条件下では、心筋細胞は3次元に凝集し、自己拍動の増強が観察された(投稿準備中)。また、効率的な脱細胞化方法を確立するために、新生仔ラット心臓を用いた評価プラットフォームを構築し、種々の界面活性剤の効果を調べた。その結果、従来「冠潅流法」でのみ達成できると考えられていた脱細胞化が、新生仔ラット心臓を用いた場合は、「浸透法」でも達成できることが判明した。(最適な脱細胞マトリックスを得るための界面活性剤の探索が進行中である。)脱細胞化組織(切片)へのiPS細胞由来心筋細胞播種を用いた評価系では、接着蛋白を添加することにより、再細胞化組織の収縮性の増大が見られた。一方、3次元心筋組織構築においては、解剖学的空間情報が極めて重要であるが、従来法では3次元でこれらの組織の局在を観察することは困難であった。この点を解決するため、組織透明化技術(CUBIC法)を用いて心臓を観察したところ、マウス成獣心の血管、交感神経の空間分布を3次元で観察することが可能となった。(本成果は、現在論文投稿中)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Scientific Reports
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