心不全は健康長寿社会実現の大きな阻害要因であり、高齢社会の到来に伴いその患者数も増加していることから、効果的な新規治療戦略の開発が望まれている。我々は、加齢や高血圧などの圧負荷によるストレスによって心筋細胞におけるANGPTL2の発現が増加し、心筋細胞におけるカルシウム濃度調節機能と心筋エネルギー代謝機能の低下を引き起こすことで心不全の発症・進展を促進することを明らかにした。さらに、心筋に対する感染指向性を持つアデノ随伴ウイルスを用い、shRNAにより心筋細胞におけるANGPTL2の発現誘導を抑制する遺伝子治療が、心不全病態に対する新規治療法となることを明らかにした。
|