研究課題/領域番号 |
26293192
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
苅尾 七臣 自治医科大学, 医学部, 教授 (60285773)
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研究分担者 |
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90326851)
新保 昌久 自治医科大学, 医学部, 教授 (70406049)
石川 鎮清 自治医科大学, 医学部, 教授 (70306140)
江口 和男 自治医科大学, 医学部, 教授 (80364503) [辞退]
甲谷 友幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (00458291)
小形 幸代 自治医科大学, 医学部, 講師 (10448847)
小古山 由佳子 自治医科大学, 医学部, 助教 (80742030)
三沢 吉雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (90209742)
川人 宏次 自治医科大学, 医学部, 教授 (90281740)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 夜間血圧 / スリープサージ / トリガー血圧計 / 基底血圧 / IT家庭血圧モニタリング |
研究実績の概要 |
1)マルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステムの開発 当該年度、複数のデバイスからのデータをタブレットに送信し、低酸素等予めプログラムされた条件をトリガーにデバイスへ測定オーダーを発信できる、遠隔操作可能なマルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステム(MIHOP)が完成し、臨床研究に使用する準備が整った。次年度より臨床研究を開始するための研究計画および環境整備を進めた。 2)SPREAD研究登録とデータ解析 2017年度末時点で1,555例を登録した。このうち、本学附属病院にて登録した症例のうち、479例について中間解析を実施した。対象者である循環器疾患または治療抵抗性高血圧患者のうち、86%に低酸素発作による血圧スリープサージが認められた。また、Maximum triggered SBP[低酸素トリガーにより測定した最大3点平均値]-Intermittent SBP[夜間就寝中一定間隔測定の平均値]の値は、3%ODIとMinimum SpO2の両者が関連していた。また、このうち頸動脈エコー(IMT)を実施した126名について検討したところ、Maximum IMTが大きい群は小さい群と比較して、Maximum triggered SBP-Intermittent SBPが有意に大きかった。これらのことから、循環器疾患や治療抵抗性高血圧では睡眠時無呼吸障害が隠れていることを疑う必要があること、血圧スリープサージによって臓器障害や心血管イベントのリスクが増加していると考えられ、簡便にスリープサージを検出することの重要性が示された。 3)血圧スリープサージの規定因子と臓器障害との関連 睡眠ポリグラフと血圧スリープサージの詳細解析を行い、論文にまとめ発表した。(Kuwabara M, Kario K et al. J Clin Hypertens. 2018 in press)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステムが完成し、本システムを利用した臨床研究開始の準備が順調に進んでいる。並行して、SPREAD研究等で収集したデータの解析から、血圧スリープサージの臨床的重要性を明らかにし、学会および論文にて成果を発表した。最終年度においては、臨床的意義が確認された血圧スリープサージを臨床研究に応用し、簡便に検出可能な新規血圧指標として国内のみならず国際的に広く情報発信をしていく。
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今後の研究の推進方策 |
1)マルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステム(MIHOP)の開発 手首型チューブレス血圧計、上腕血圧計、Bluetooth内蔵パルスオキシメータ等の複数のデバイスからのデータをタブレットに送信し、個々に使用デバイスやトリガープログラムを設定できる遠隔操作可能なマルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステム(MIHOP)が29年度完成した。30年度では、本システムを用いて、夜間就寝時の定時測定に加え、低酸素トリガー血圧測定を上腕および手首血圧計で同時に行う。パルスオキシメータからの酸素飽和度情報を受けたタブレットが、設定閾値以下の低酸素時に、血圧測定信号を両血圧計に送信する。同じ信号を受けて血圧測定を実施した際の上腕および手首測定血圧の一致性を検証し、被験者のライフスタイルに合わせた組み合わせ使用が可能なMIHOPの臨床的有用性を確認する。 2)SPREAD研究登録とデータ解析 29年度末にSPREAD研究登録者数は計1,555名に達した。30年度は、データ解析をさらに進め、トリガー血圧計で得られる新規夜間血圧指標と予後との関連の検討を進める。 3) 研究成果の海外への発信 アジア人は欧米人に比較し、血圧と強く関連する脳卒中や心不全の発症が多く、早朝血圧および夜間血圧のコントロールが特に重要である。1)2)で得られたエビデンスを、アジア地域を中心に世界へ広く発信し、夜間血圧を含む家庭血圧の測定・評価法の確立、国際標準化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
マルチトリガーIT家庭血圧モニタリングシステムを活用した臨床研究を30年度から本格的に開始するため、そのための費用として基金分の一部を30年度に繰り越した。 30年4月以降に、臨床研究実施に必要な血圧計など研究資材の購入を計画している。
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