研究課題
3. マイクロRNAにより誘導される心筋様細胞の経時的変化 マイクロRNAによる心筋リプログラミング促進効果の分子基盤を明らかにするため、経時的に誘導心筋細胞の遺伝子発現や生理機能を解析した。方法としてはaMHC GFPマウスを用いて、このマウス線維芽細胞にGata4, Mef2c, Tbx5 (GMT)あるいはGMT/miR-Xを導入して誘導心筋細胞の遺伝子発現変化をqRT-PCRで、心筋特異的蛋白の発現や横紋構造をFACSや免疫染色で確認した。生理機能は自発的に細胞内カルシウム濃度変化を有する細胞数や自律拍動する細胞数の変化を解析した。これまでの実験で、① qRT-PCR でmiR-Xによる心筋遺伝子の上昇や線維芽細胞遺伝子の発現低下が認められること、② 免疫染色ではmiR-Xにより横紋構造を有する心筋様細胞の数が著増すること、③ 生理機能として自律拍動する細胞数はGMT群と比較して7倍に増加し、さらに細胞拍動までの期間も短縮できることを見出した。4.マイクロRNAによる心筋リプログラミングの分子基盤解明 (1) マイクロRNAによる心筋リプログラミング促進制御機構 マイクロRNAによる心筋リプログラミングの制御機構を解明するため、miR-X導入により発現が変化する遺伝子を網羅的に解析した。方法としてはGata4, Mef2c, Tbx5 (GMT)あるいはGMT/miR-Xを線維芽細胞に導入して経時的に誘導心筋細胞をFACSで回収して全遺伝子発現をマイクロアレイ法で解析した。その結果、上昇した遺伝子は心筋特異的遺伝子が有意であること、逆に低下した遺伝子は線維芽細胞特異的遺伝子が有意であることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定する検討を行った。その結果、心筋リプログラミングを促進するmiR-Xを同定でき、当初のマイルストーンは達成した。一方、miR-X以外にも複数の新規マイクロRNAを同定することができたため、これら新規マイクロRNAの機能、心筋リプログラミングの分子メカニズム解析を追加で行う必要が出た。
miR-Xによる心筋リプログラミングではその詳細なメカニズム解明をTargetScanなどのBioinformaticsを用いて解析する。さらにLuciferase assayやヒト細胞での心筋リプログラミングを解析する。また新規マイクロRNAに関しても同様に機能解析と心筋リプログラミングの分子メカニズム解析を追加で行う。
心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定する検討を行った結果、複数の新規マイクロRNAを同定することができた。そのためこれら新規マイクロRNAで発現変化する分子メカニズム解析のためマイクロアレイ解析を追加で行う必要が出たため。
マイクロRNAによる心筋リプログラミング促進の分子メカニズムを見極めることが不可欠であるため、新規マイクロRNAで制御される遺伝子発現変化をマイクロアレイ解析する必要が生じた。そのため来年度の物品費や論文作成に伴い、英文校正や論文掲載費を計上する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 図書 (5件)
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