研究課題
新規のものも含めた複数の心筋特異的マイクロRNAの中から心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定した。スクリーニング方法としてはMHCーGFPマウスの心臓線維芽細胞にGata4/Mef2c/Tbx5の3因子を導入する際に、同時にマイクロRNA機能を増強するマイクロRNA mimic (miR)を導入して心筋誘導効果をαMHC-GFP、cardiac troponin T (cTnT)の心筋マーカーでFACSにより定量的に解析した。これまでの実験でmiRの遺伝子導入効率が90%以上であること、心筋リプログラミングを促進する新規心筋特異的マイクロRNA (miR-X)を同定することに成功した。次にマイクロRNAによる心筋リプログラミングの制御機構を解明するため、miR-X導入により発現が変化する遺伝子を網羅的に解析した。方法としてはGata4, Mef2c, Tbx5 (GMT)あるいはGMT/miR-XをMHCーGFPマウスの線維芽細胞に導入して経時的に誘導心筋細胞をFACSで回収して全遺伝子発現をマイクロアレイ法で解析した。変化した遺伝子群の特徴をGO term解析、Pathway解析、Scatter plot解析などにより検討して、miR-Xによりどのような性質をもった遺伝子群が上昇するか、または低下するかを明らかにした。その結果、miR-Xにより100以上の遺伝子が上昇し、300以上の遺伝子が低下することを見出した。さらにはScatter plot解析の結果、上昇した遺伝子は心筋特異的遺伝子が有意であること、逆に低下した遺伝子は線維芽細胞特異的遺伝子が有意であることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りに新規のものも含めた複数の心筋特異的マイクロRNAの中から心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定することができた。またマイクロRNAによる心筋リプログラミング促進制御機構やそのターゲット遺伝子を解明し、心筋リプログラミングの分子基盤解明をすることができた。
ヒト細胞で心筋特異的マイクロRNAの中から心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定する。これにより臨床への応用を一層前進させることができる。
理由心筋特異的マイクロRNAの中から心筋リプログラミングを促進するマイクロRNAを同定する過程で複数の新規マイクロRNAを発見した。それら複数のマイクロRNAの機能解析を行ったために当初の予定より遺伝子発現解析などの実験がおくれて未使用額が生じた。使用計画複数の新規マイクロRNAのターゲット分子が心筋リプログラミングに関与するか検討するため、マイクロアレイ、ルシフェラーゼアッセイ、ウエスタンブロット解析を追加で行う。そのため来年度の物品費や、論文作成に英文校正や論文掲載費を計上する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 図書 (4件)
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