研究課題
COPDの病態における肺構築細胞の役割を解明するために、本研究では、新たに以下の二つの観点から研究を遂行した。1) 新規還元物質-活性硫黄種のCOPD病態における役割の解明COPDの肺細胞は、過剰に産生された内因性オキシダントやタバコ煙由来の外因性オキシダントに曝露された結果、酸化ストレスが生じていることは広く知られている。一方で細胞内外の抗酸化システムについては、superoxide dismutase (SOD)やcatalaseなどの抗酸化酵素、glutathioneなど低分子抗酸化物質が中心的役割を担っていると考えられてきた。我々は、新規の抗酸化物質である活性硫黄分子種に着目し、独自の測定系を用いて測定することに成功した。細胞内の活性硫黄分子種は患者由来の肺構築細胞を用いて、細胞外の活性硫黄分子種は気道上皮被覆液を用いて定量した。健常群と比較してCOPD患者では細胞内外の活性硫黄分子種が有意に低下しており、酸化ストレスの形成に関与している可能性が示唆された。本研究内容は、現在、英文誌に投稿中である。今後は、活性硫黄分子種の役割について、in vitro、in vivoモデルを用いて検証する予定である。2) 抗老化液性因子growth differentiation factor11(GDF11)の役割の解明COPDの肺細胞では細胞老化が進行しているが、その詳細な機序については不明である。近年、抗老化液性因子であるGDF11 (Cell 2013, Science 2014)が、細胞老化を改善する分子として着目されている。本研究では、COPD患者から採取した血清中のGDF11について測定したところ、COPD患者において有意に低下していることを見出した。今後、GDF11の産生様式と抗細胞老化作用についてin vitro, vivoモデルを用いて検証していく予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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