研究課題
DEAD/H (Asp-Glu-Ala-Asp/His) box polypeptide 3, X-linked (DDX3X)が肺癌癌幹細胞化のkey playerであることを明らかとし、これを標的分子とした画期的な癌幹細胞化阻止療法を開発する、ことを目的として平成26年度より本研究を行っている。平成28年度の研究に於いて、DDX3Xにより誘導されるEMTに着目した研究を進めた。EGFR exon19 delを有するヒト肺腺癌細胞株PC9にDDX3Xを強制発現することで①E/N-cadherinスイッチ及びvimentin発現が誘導されること、②EMT化した肺癌細胞はVEGFR2を細胞外に発現すること、③EMTした肺癌細胞を駆逐するためにはEGFR-TKIとVEGFR-TKIの併用療法が有効であること、を発見した。この結果は平成28年日本癌学会総会で発表し、論文投稿を準備している。これまでにDDX3Xには免疫原性があり、マウス実験において癌幹細胞様分画に対して抗腫瘍T細胞免疫を惹起することを報告してきた。この抗腫瘍免疫現象においてCD62LlowCD4+ T細胞が重要であること、このT細胞の養子移入によって腫瘍局所における樹状細胞の成熟化が進み、長期に継続する抗腫瘍免疫現象が得られることが明らかとなった。この知見を基にして、肺癌患者における抗PD-1抗体治療奏効と末梢血中CD62LlowCD4+ T細胞割合に関連があるか検討を行った。この結果、治療前にCD62LlowCD4+ T細胞割合が一定以下である場合は抗PD-1抗体治療を行っても早期に病勢増悪を来たしほぼ無効であることが明らかとなった。この結果は、治療前に効果予測するバイオマーカーとして用いることが可能であり、平成29年2月に特許出願している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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