研究課題
本研究は、応募者開発のヒト正常気管支上皮細胞発癌モデル(HBEC)を用い、アノイキス抵抗性に基づいた網羅的な腫瘍抑制ドライバー遺伝子の特定を目的とした。アノイキスは細胞外マトリックスへの接着を失った細胞におこるアポトーシスであり、アノイキス抵抗性は癌細胞の代表的な悪性形質である。アノイキス抵抗性に関与する遺伝子の発見は肺癌の新規治療標的の発見につながる可能性がある。2014年度および2015年度は、アノイキス抵抗性に関与する遺伝子の同定を目的とし、変異KRAS導入HBEC細胞にプールshRNAライブラリーを導入して、アノイキス抵抗性に基づいたスクリーニング実験を行った。2016年度は、2015年度までに実施したスクリーニング実験によって絞り込んだ候補遺伝子が本当にアノイキス抵抗性に関与するかどうかの確認を行った。変異KRAS導入HBEC細胞において、合成RNAオリゴを用いて個々の候補遺伝子をノックダウンし、3次元培養での細胞増殖を検証することでアノイキス抵抗性獲得の有無を評価した。その結果、遺伝子Xのノックダウンによって、再現性を持って3次元培養におけるアノイキス抵抗性の獲得を確認した。現在はshRNAを用いて遺伝子Xの安定ノックダウンクローンを作成し、軟寒天培養条件においてもアノイキス抵抗性が確認できるかどうかを検証中である。今後は、遺伝子Xの過剰発現クローンを作成し、同クローンにおいて網羅的遺伝子発現解析を実施することによってアノイキス抵抗性獲得の機序を解明していく予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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