研究課題/領域番号 |
26293198
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陳 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90197640)
|
研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50212220)
田原 康玄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00268749)
若村 智子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40240452)
室 繁郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60344454)
谷澤 公伸 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20639140)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 肺機能測定 / 睡眠時間 / 睡眠呼吸障害 / 大規模コホート / アクチグラフ / 睡眠障害 / 慢性閉塞性肺疾患 / 気管支喘息 |
研究実績の概要 |
長浜コホートにて本研究の2年間で約8000名の肺機能測定を行った。また、睡眠日誌、アクチグラフ、携帯型酸素飽和度測定器を用いた客観的な睡眠時間と睡眠呼吸障害の程度を8000名中の7000名において行った。また、長浜コホートI期の資料から、膝痛、背部痛と睡眠時間の関連を報告した。(Murase K, Chin K et al. Knee Pain and Low Back Pain Additively Disturb Sleep in the General Population: A Cross-Sectional Analysis of the Nagahama Study. PLoS One. 2015;10:e0140058). すでに解析が終わった2689人の平均睡眠時間は6.64+/-1.1時間であり、我々が過去に近畿の大都市部で調査した成人男子の平均睡眠時間6.00+/-0.84時間に比して有意に短縮していた。中都市長浜市住民の平均睡眠時間6時間未満の人は26%であったが、大都市部では45%であった。また、睡眠呼吸障害の程度を表す睡眠1時間あたりの3%酸素飽和度低下数は長浜平均7.5+/-6.1回/時間、大都市部10.6+/-11.4回/時間であった。異常を示す1時間5回以上は長浜55%で、大都市60%であったが、治療を要する15回以上は長浜9.8%、大都市部22%と大都市部では明らかに重症化している参加者が多かった。 また、肺機能以外の睡眠時血圧、頸動脈エコー、認知機能(MCI)テストなど、全身病態との注目を集めている気道疾患の関連病態も併せて調査している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コホート内の肺機能測定患者はほぼ予定数であり、客観的な睡眠時間、睡眠呼吸障害測定数は予定数を超え7000名に達した。また、研究実績の概要内の論文以外にも Tabara Y et al. Relationship among Chlamydia and Mycoplasma pneumoniae seropositivity, IKZF1 genotype, and chronic obstructive pulmonary disease in a general Japanese population: the Nagahama study. Medicine in press. Yumi I, et al. Mouth breathing, another risk factor for asthma: the Nagahama Study. Allergy. in pressも発表し、発表論文数もほぼ予定通りである。今年度も当初の予定に加えて約2000名のコホートから資料作成予定ある。本年度のコホートは比較的に青壮年層が多くなり、本コホート構成年齢層の均等化が図れると期待されている。今年度の2000名を加えると約9000名の肺機能資料と客観的睡眠時間、睡眠呼吸障害資料が収集されることになるので、本研究課題は順調に進捗していると考えている。 このように、集積症例数は当初の予定より進んでいるが、採取資料の不良資料などの鑑別に多大な労力を要し、資料整理については若干の遅れを生じている。 予定より多い症例数とやや遅れている資料整理を統合すると計画はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初は予定では本年度は資料収集のない年度であったが、コホート研究の精度を高めるために上記のように青壮年層を中心としたコホート参加者2000名を予定している。9月からコホートの検診再開となり、予備日も含めて来年2月に終了予定である。現状までの約7000名の資料を整理して、慢性閉塞性肺疾患(COPD),気管支喘息などの気道疾患や観察期間5年間の急速肺機能低下群と睡眠呼吸障害(無呼吸低呼吸数、酸素飽和度低下数、酸素飽和度90%以下時間など)、睡眠障害(睡眠時間の長短、睡眠分断)などとの関連を検討する。近年、COPDに睡眠呼吸障害を合併するoverlap症候群はCOPD単独よりも増悪の増加、予後悪化が報告されているので、本コホートでも、COPD単独、睡眠時無呼吸単独、overlap症候群、両者のない健常群を比較して、気道疾患病態悪化に与える睡眠の影響を包括的に解析する。本コホートでは肺機能以外の睡眠時血圧、頸動脈エコー、認知機能(MCI)テストなど、全身病態に関連する諸種パラメーターが測定されているので、気道疾患と全身病態を睡眠障害を含めて検討し、気道疾患の全身病態に与える影響を総括する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費(睡眠検査消耗品代)が予定よりも少なかったのでその分残った。
|
次年度使用額の使用計画 |
その他(英語論文校閲代金)の予算に加えて使用していく。
|