研究課題/領域番号 |
26293199
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 功朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40447975)
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研究分担者 |
半田 知宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10432395)
小寺 秀俊 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20252471)
平井 豊博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359805)
劉 莉 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50380093)
三嶋 理晃 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60190625)
室 繁郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60344454)
新宅 博文 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80448050)
長船 健二 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80502947)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 肺胞上皮細胞 / 線毛上皮細胞 / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
今年度の目標として,ヒトiPS細胞からのII型肺胞上皮細胞の誘導効率改善をはかって,三次元培養から二次元培養への展開を行うこと,そして血管内皮細胞との共培養をナノファイバーシート上で行い,I型肺胞上皮細胞の機能を評価することであった.肺の上皮細胞への前駆細胞といえるNKX2.1陽性細胞をnanofiber上に生着させることを引き続き試み,そのためにはある材質にて作成したナノファイバーが適することがわかった.また,同時にマトリクスを塗布したほうが細胞生着率や培養効率が向上するのではないかと考え,種々のマトリクスをナノファイバーとともに用いた.その結果,ナノファイバーにマトリクスをコートすることでこれらが向上することがわかった.従来は長期に培養するとNKX2.1の発現が低下するが,本条件下において複数の培地条件を試し,NKX2.1を持続発現する培養条件を見出した.しかしながら,まだ肺胞上皮細胞の誘導効率は十分とはいえない段階で,他の細胞が混在してしまう.また,誘導した細胞の長期培養を試みている途上である. 一方,ヒトiPS細胞から気道上皮細胞の誘導を試み,多種ある気道上皮細胞のなかで,生体内では吸入された異物排除に重要な線毛上皮細胞の高効率誘導が可能となり,三次元培養から二次元培養への展開,さらに線毛上皮運動の評価と線毛運搬能の評価が可能となった(Konishi S. Stem Cell Reports 2016;6:18-25.).課題としては,細胞ごとに方向や時相的にランダムに運動している線毛の動きを,協調性のある一方向性の動きのある細胞シートを作成することがあり,克服できれば再生医療などに用いられる可能性が高まるであろう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞の誘導効率が十分でなく,改善に時間を要していること,また,細胞培養自体が長期培養が困難で,特に二次元培養が難しいことがあげられる.このため,NKX2.1陽性細胞を二次元nanofiber上に撒くよりは,三次元下での条件をrefineすることが重要となる.
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞から肺の上皮細胞への誘導は,気道線毛上皮細胞の誘導が高効率で可能ということが判明した.そのため,線毛上皮細胞の細胞機能評価には,本研究プロジェクトの系を適用することが有用であろう.一方向性の繊毛運動をする上皮細胞シートを作成するためには,一定方向あるいは規則的な水流を,air-liquid interface で培養する細胞に与えることができるmicrofluidics技術を開発し,実験データを評価する.肺胞上皮については,三次元条件下での誘導効率改善と長期培養条件をさらに模索し,二次元条件へと展開する.
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入費用において,端数が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越し,使い切る予定である.
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