研究課題
SBMAマウスモデル脊髄および骨格筋における分子シグナル異常について、とくにAktシグナルに注目して解析を行なった。その結果、SBMAマウスモデルの脊髄では運動症状発症前である6週齢の時点からAktのリン酸化障害が生じていることが明らかとなった。一方、骨格筋では6週齢の時点ではむしろAktシグナルは亢進しており、進行期である13週齢になると脊髄同様低下することが示された。C2C12およびNSC34の各々に変異アンドロゲン受容体を強制発現させて、それらにAkt賦活剤であるsc79を投与すると、いずれの細胞系においても細胞活性が改善することが示され、AktはSBMAの神経・筋病態に対して防御的に作用することが明らかとなった。マウス個体レベルでは、病態初期には神経におけるAktの活性低下を骨格筋におけるAktの活性亢進が代償している可能性があり、進行に伴い骨格筋における代償作用が低下して神経変性が進行することが示唆された。SBMAの病態におけるエピジェネティクス異常の関与を明らかにするため、SBMAマウスモデルにおけるDNAメチル化レベルの変化を解析した。その結果、SBMAマウス脊髄運動ニューロンではDNAメチル化酵素であるDNMT1の発現が亢進しており、同様の変化がNSC34に変異アンドロゲン受容体を強制発現した系でも認められた。DNMT1の阻害剤であるRG108 をマウスに脳室内投与したところ、マウスの運動機能や寿命が改善し、病理学的にDNMT1の発現抑制が認められた。NSC34に変異アンドロゲン受容体を強制発現した系でも、同様にRG108による細胞しよく成功かが認められた。以上から、SBMAにおける神経変性の病態にはDNAメチル化亢進が寄与しており、DNAメチル化阻害剤が新規治療薬の候補となり得る可能性が示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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