研究課題/領域番号 |
26293212
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂口 末廣 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (60274635)
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研究分担者 |
矢野 雅司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 技術員 (10531858)
千田 淳司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (20437651)
原 英之 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (40469953)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プリオン / プリオン蛋白質 / プリオン病 / 小胞輸送 / トランスジェニックマウス / 細胞膜蛋白質 |
研究実績の概要 |
申請者らは、プリオンが神経細胞に感染すると、細胞膜蛋白質の細胞膜への輸送が障害され、細胞膜における細胞膜蛋白質の発現が低下し機能不全に至ることを見出し、細胞膜蛋白質の輸送障害が感染性プリオン病の病態に関与する可能性を示した。もし細胞膜蛋白質の細胞膜発現の低下が感染性プリオン病の病態に関与していれば、細胞膜蛋白質を過剰発現させることで細胞膜発現を上昇させると、プリオン病の病態が少しでも改善されるはずである。そこで申請者らは、申請者らが細胞膜発現の低下を確認した細胞膜蛋白質(インスリン受容体(IR)とアトラクチン(ATT))の過剰発現Tgマウスを作製しプリオンを感染させ、コントロールマウスと比較して、病態に違いがないか解析することにした。現在、IRのTgマウスについては、founderマウスが3匹生まれ、そのなかの1匹は系統化できず、また1匹は脳内にIRを発現しておらず、残りの1匹につては現在系統化中で、脳内発現を確認する予定である。ATTのTgマウスに関しては、founderマウスが3匹生まれ、現在系統化中である。 遺伝性プリオン病でも細胞膜蛋白質の輸送障害が共通の病態メカニズムであるのか明らかにするために、遺伝性プリオン病のTgマウスモデルの作製を行ない、細胞膜蛋白質の細胞膜発現が低下しているのか解析することにした。現在、founderマウスが6匹生まれ、1匹は事故のため死亡し、その他に関しては系統化中である。 また、プリオンによる細胞膜蛋白質の小胞輸送障害のメカニズムを解明するために、プリオンと結合する蛋白質輸送関連分子を同定した。この分子はプリオン感染により発現が低下し、またこの分子を強制的に過剰発現させるとプリオンの産生が低下した。今後、この分子がプリオンによる小胞輸送障害に関与するのか解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞膜蛋白質の細胞膜発現の低下が感染性プリオン病の病態に関与するのか明らかにするために、申請者らが細胞膜発現の低下を確認した細胞膜蛋白質(インスリン受容体(IR)とアトラクチン(ATT))の過剰発現Tgマウスを作製しプリオンを感染させ、コントロールマウスと比較して、病態に違いがないか解析する計画であったが、現在、両者のTgマウスとも系統化中であり、やや遅れている。 また、遺伝性プリオン病でも細胞膜蛋白質の輸送障害が共通の病態メカニズムであるのか明らかにするために、遺伝性プリオン病のTgマウスモデルの作製を行ない解析する計画であったが、現在、Tgマウスの系統化中であり、やや遅れている。 プリオンによる細胞膜蛋白質の小胞輸送障害のメカニズムを解明するために、プリオンと結合する蛋白質輸送関連分子を同定した。実際、この分子はプリオン感染により発現が低下し、またこの分子を強制的に過剰発現させるとプリオンの産生が低下した。今後、この分子がどのようにプリオンによる小胞輸送障害に関与するのか解析する予定であり、順調に進行している。 以上総合すると、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞膜蛋白質の細胞膜発現の低下が感染性プリオン病の病態に関与するのか明らかにするために、申請者らが細胞膜発現の低下を確認した細胞膜蛋白質(インスリン受容体(IR)とアトラクチン(ATT))のTgマウスの系統化を行ない、プリオンを感染させる。 また、遺伝性プリオン病でも細胞膜蛋白質の輸送障害が共通の病態メカニズムであるのか明らかにするために、遺伝性プリオン病のTgマウスの系統化を行ない、解析する。 また、プリオンによる細胞膜蛋白質の小胞輸送障害のメカニズムを解明するために、同定したプリオンと結合する蛋白質輸送関連分子がどのようにプリオンによる小胞輸送障害に関与するのか解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で必要なトランスジェニックマウスの作成・系統化が予定より遅れており、現在、それぞれのマウスの系統化を行なっているところである。このために、これらのマウスの系統化のために必要な経費として次年度使用額としてし使用することになった。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究で必要なトランスジェニックマウスの系統化及び維持管理費として、またプリオンによる細胞小胞輸送障害のメマニズム解明の物品費として、さらに本研究で得られた成果発表に関わる旅費として、次年度使用額及び翌年度分として請求している研究費を使用する。
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