これまでに我々は、肝での脂肪蓄積に由来する神経シグナルが褐色脂肪組織におけるエネルギー消費を増やすというネガティブフィードバック機構を発見した。一方、肝臓からの別の神経シグナルは褐色脂肪組織のエネルギー消費を抑制し体重増加に繋がっていることも明らかになった。そこで、このような肝臓からの神経シグナルを担っている具体的な分子を同定することを目的とし本研究を行った。質量分析法を用いた網羅的なスクリーニングにより候補分子(二つのペプチドと一つの代謝産物)を見出したが、検証実験の結果、いずれも該当する分子ではなかった。以上より、ペプチドや代謝産物以外の物質が神経シグナルを担っている可能性が考えられた。
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