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2015 年度 実績報告書

アディポネクチン受容体を標的とした構造ベース創薬に向けた基盤技術の創出と確立

研究課題

研究課題/領域番号 26293216
研究機関東京大学

研究代表者

岩部 美紀  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (70392529)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード糖尿病 / 薬理学 / トランスレーショナルリサーチ
研究実績の概要

我々は、肥満に伴って、脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポネクチン(Ad)が低下し、全身でのAd/その受容体AdipoRの作用低下が、メタボリックシンドローム・2型糖尿病激増の主因になっていることを明らかにしてきた。これらの結果を踏まえ、AdipoRをターゲットとした新規糖尿病治療薬の登場が期待されていたが、ごく最近、世界初・日本発のAdipoR活性化薬のシーズとなる低分子化合物の取得に成功した。同時に最難関であったAdipoRの立体構造解析にも成功している。本研究課題では、現在取得しているAdipoR活性化低分子化合物とAdipoRとの立体構造解析を行い、得られた情報に基づいて、ケミカルバイオロジー、計算化学的手法などを駆使し、AdipoR機能を制御できる作用部位へフィットできるよう薬剤候補化合物を設計・合成し、最適化していく。最終的に臨床試験にステップアップさせうる化合物取得を目指し新規糖尿病治療薬の開発に繋げる。
(1)AdipoRと低分子化合物との立体構造解析・インシリコスクリーニング・化合物の構造展開: 前年度までに取得した低分子化合物(1stリード化合物)から展開した化合物の中から、2ndリード化合物を選抜し、in vitro及びin vivoスクリーニングを行い、候補を絞った。
(2)ヒト型AdipoRマウスおよび各組織特異的AdipoR欠損マウスを用いた化合物の最適化: 1st及び2ndリード化合物についてヒト型AdipoRマウスを用いたin vivoでの効果の検討を行い、抗糖尿病作用を及びヒトAdipoRへの特異性などを評価した。
(3)安全性試験、薬理試験による臨床応用への最終確認:新たに確立した血中濃度測定系の情報などを基に組織移行性を検討した。2ndリード化合物について、安全性試験(急性毒性試験・反復投与毒性試験)を行い、開発可能性について検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時、予定していた研究項目((1)AdipoRと低分子化合物との立体構造解析・インシリコスクリーニング・化合物の構造展開(2)ヒト型AdipoRマウスおよび各組織特異的AdipoR欠損マウスを用いた化合物の最適化(3)安全性試験、薬理試験による臨床応用への最終確認)、全ての研究項目について、それぞれ平成27年度に予定していた計画内容について、当初の計画通り進展している。

今後の研究の推進方策

平成27年度については、当初予定していた計画内容について、ほぼ達成した上、さらに一部の研究計画については、当初の計画以上に進展している。そのため、本研究の推進において、研究体制及び研究計画に大幅な変更の必要性は低いと思われ、当初の計画通り、研究を推進する予定である。本研究課題のさらなる進展・加速を目指すべく、各人の実験の精度の向上とスピードアップを図り、目的を早期に達成したいと考えている。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Adiponectin/adiponectin receptor in disease and aging.2015

    • 著者名/発表者名
      Iwabu M, Okada-Iwabu M, Yamauchi T, Kadowaki T
    • 雑誌名

      npj Aging and Mechanisms of Disease

      巻: 1 ページ: 15013

    • DOI

      doi:10.1038/npjamd.2015.13

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Perspective of Small-Molecule AdipoR Agonist for Type 2 Diabetes and Short Life in Obesity.2015

    • 著者名/発表者名
      Okada-Iwabu M, Iwabu M, Ueki K, Yamauchi T, Kadowaki T
    • 雑誌名

      Diabetes Metab. J.

      巻: 39 ページ: 363-372

    • DOI

      doi: 10.4093/dmj.2015.39.5.363.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Crystal structures of the human adiponectin receptors.2015

    • 著者名/発表者名
      Tanabe H, Fujii Y, Okada-Iwabu M, Iwabu M, Nakamura Y, Hosaka T, Motoyama K, Ikeda M, Wakiyama M, Terada T, Ohsawa N, Hato M, Ogasawara S, Hino T, Murata T, Iwata S, Hirata K, Kawano Y, Yamamoto M, Kimura-Someya T, Shirouzu M, Yamauchi T, Kadowaki T and Yokoyama S
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 520 ページ: 312-316

    • DOI

      doi: 10.1038/nature14301.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Proliferator-activated Receptor (PPAR)α Agonist and PPARγ Antagonist, Z-551, Ameliorates High-fat Diet-induced Obesity and Metabolic Disorders in Mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Shiomi Y, Yamauchi T, Iwabu M, Okada-Iwabu M, Nakayama R, Orikawa Y, Yoshioka Y, Tanaka K, Ueki K and Kadowaki T
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 290 ページ: 14567-14581

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M114.622191.

    • 査読あり
  • [学会発表] 生活習慣病の鍵分子アディポネクチン受容体/アディポネクチンシグナル活性化薬の創出2016

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀
    • 学会等名
      国立研究開発法人日本医療研究開発機構/革新的医療技術創出拠点プロジェクト平成27年度成果報告会
    • 発表場所
      虎ノ門ヒルズ(東京都港区)
    • 年月日
      2016-03-03
  • [学会発表] アディポネクチン受容体の抗体創薬に向けた検討と解析2016

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 学会等名
      第9回システム疾患生命科学による先端医療技術開発シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学山上会館(東京都文京区)
    • 年月日
      2016-02-12
  • [学会発表] 大学発の新規糖尿病治療薬開発におけるトランスレーショナルリサーチの実現に向けて2016

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀
    • 学会等名
      東大病院先端医療シーズ開発フォーラム2016
    • 発表場所
      東京大学伊藤国際学術研究センター (東京都文京区)
    • 年月日
      2016-02-02
    • 招待講演
  • [学会発表] Crystal structure of the human adiponectin receptors2016

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀
    • 学会等名
      第4回 IRG Meeting
    • 発表場所
      品川プリンスホテル(東京都港区)
    • 年月日
      2016-01-09
    • 招待講演
  • [学会発表] Crystal structures of the human adiponectin receptors2015

    • 著者名/発表者名
      MIKI OKADA-IWABU, TOSHIMASA YAMAUCHI, MASATO IWABU,TAKASHI KADOWAKI
    • 学会等名
      2016 Keystone Symposia Conference T2: Diabetes: New Insights into Molecular Mechanisms and Therapeutic Strategies
    • 発表場所
      Westin Miyako Kyoto(京都府京都市)
    • 年月日
      2015-10-13
    • 国際学会
  • [学会発表] Crystal structure of the human adiponectin receptors2015

    • 著者名/発表者名
      MIKI OKADA-IWABU, TOSHIMASA YAMAUCHI, MASATO IWABU,TAKASHI KADOWAKI
    • 学会等名
      第20回 アディポサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(大阪府豊中市)
    • 年月日
      2015-08-22
    • 招待講演
  • [学会発表] 健康長寿を目指した糖尿病治療薬開発に向けたアディポネクチン受容体アゴニストの創製2015

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 学会等名
      第58回 日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      グランプラス セント・バレンタイン(山口県下関市)
    • 年月日
      2015-05-21
  • [学会発表] アディポネクチンを標的とした糖尿病・糖尿病合併症の治療2015

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 学会等名
      第88回 日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-04-25
    • 招待講演
  • [図書] 実験医学・【「解明」から「制御」へ 肥満症のメディカルサイエンス】 (第1章)エネルギー代謝の制御機構 「アディポネクチンの生理機能 ー肥満・2型糖尿病治療に向けて」2016

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 総ページ数
      212(221-227)
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] 最新医学・【トップランナーに聞く】第61回最終回 「大学発の創薬の実現を目指して」2016

    • 著者名/発表者名
      岩部(岡田)美紀
    • 総ページ数
      166(121-125)
    • 出版者
      最新医学社
  • [図書] 血管医学・【臓器の記憶と血管代謝ニッシェ】 「アディポネクチン受容体機能低下に伴う臓器記憶の変容」2015

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 総ページ数
      118(345-352)
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 日本臨牀・『新時代の臨床糖尿病学(上)』【VII糖尿病治療 薬物療法 新規糖尿病治療薬】「アディポネクチン受容体アゴニスト(アディポロン)」2015

    • 著者名/発表者名
      岩部 美紀、山内 敏正、岩部 真人、門脇 孝
    • 総ページ数
      671(607-613)
    • 出版者
      日本臨床社

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公開日: 2017-01-06  

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