研究課題
Vaspinは内臓脂肪組織から発見したserine protease inhibitor (serpin)ファミリーに属する新規アディポカインであり、現在までの機能解析の結果からvaspinはメタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性、脂肪肝、脂質代謝異常、動脈硬化を改善する代償因子であると報告してきた。またvaspin受容体として小胞体ストレスによって膜表面に表出してくるGlucose-regulated protein 78 (GRP78; BiP)を同定し、vaspinはリガンドとして作用して肝臓へのAktシグナルを促進したり、血管内皮細胞のアポトーシスを抑制したりすることを報告した。また最近セリンプロテアーゼであるkallikrein 7をvaspinが阻害することが報告された。本研究ではvaspinの相互作用分子であるGRP78とその細胞膜アンカー蛋白であるDNAJC1 (DnaJ homolog, subfamily C, member 1)、セリンプロテアーゼであるkallikrein 7に着目してメタボリックシンドロームにおける意義と創薬のターゲットとしての重要性を検討する。
2: おおむね順調に進展している
高脂肪食飼育C57BL6Jマウス肝臓から、Iodixanol-NaCl/Tricine Density Gradient Method (OptiPrepTM)により形質膜分画を精製した。GRP78抗体で免疫沈降を行い、SDS-PAGEに展開し鍍銀染色及び質量解析を施行した。またKallikrein 7に対するセリンプロテアーゼに対するvaspinの阻害活性を検討した。これらプロテアーゼはvaspinを基質として認識して反応しさらに共有結合を形成することが知られており、vaspinの活性に影響を及ぼす可能性があり、kallilrein 7を含めたセリンプロテアーゼも以下の実験系に添加するなどして影響を検討した。
Mutant Mouse Regional Resource Centers社に、すでにGene Trap法によるMTJ-1(ヒトホモログ; DNAJC1)のノックアウトマウスES細胞およびトランスジェニックマウスが登録されている。これらマウス平成27年度までに個体化して、高脂肪食もしくは通常食で25週齢まで飼育し、体重増加や血糖・血中脂質パラメーター,糖・インスリン負荷試験,運動量測定,酸素消費量や呼吸商の測定を行い、野生型と比較する。25週齢で肝臓・脂肪組織を採取し、脂肪細胞のサイズの変化や脂肪肝の程度など組織学的変化について検討する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
Metabolism
巻: 64(4) ページ: 489-497
doi: 10.1016/j.metabol.2014.12.003.
巻: 未定 ページ: 未定
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Diabetes Res Clin Pract
doi: 10.1016/j.diabres.2015.02.010.