研究課題
Vaspinは内臓脂肪組織から発見したserine protease inhibitor (serpin)ファミリーに属する新規アディポカインであり、現在までの機能解析の結果からvaspinはメタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性、脂肪肝、脂質代謝異常、動脈硬化を改善する代償因子であると報告してきた。またvaspin受容体として小胞体ストレスによって膜表面に表出してくるGlucose-regulated protein 78 (GRP78; BiP)を同定し、vaspinはリガンドとして作用して肝臓へのAktシグナルを促進したり、血管内皮細胞のアポトーシスを抑制したりすることを報告した。また最近セリンプロテアーゼであるkallikrein 7をvaspinが阻害することが報告された。本研究ではvaspinの相互作用分子であるGRP78とその細胞膜アンカー蛋白であるDNAJC1 (DnaJ homolog, subfamily C, member 1)、セリンプロテアーゼであるkallikrein 7に着目してメタボリックシンドロームにおける意義と創薬のターゲットとしての重要性を検討する。
2: おおむね順調に進展している
MTJ-1(ヒトホモログ; DNAJC1)のコンディショナルノックアウトマウスを個体化した。このマウスを用いてCre-loxPシステムによって臓器特異的ノックアウトマウスを作出することができる。
平成28年度はMTJ-1ノックアウトマウスを高脂肪食もしくは通常食で25週齢まで飼育し、体重増加や血糖・血中脂質パラメーター,糖・インスリン負荷試験,運動量測定,酸素消費量や呼吸商の測定を行い、野生型と比較する。25週齢で肝臓・脂肪組織を採取し、脂肪細胞のサイズの変化や脂肪肝の程度など組織学的変化について検討する。さらにRNAを抽出し、糖脂質代謝に関連する遺伝子群の変化、炎症に関連する遺伝子の変化など定量PCRで検討する。またウエスタンブロットにより糖脂質代謝関連分子の発現変化を検討する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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